前回までのあらすじ
「働かないオジサンになる人ならない人」という本によると、サラリーマンは40歳付近で壁にぶつかることが多いそうだ。
会社員人生には前半戦と後半戦の2つの段階がある。
前半戦:~30代中盤
…
会社員人生には前半戦と後半戦の2つの段階がある。
20代から30代は目の前の仕事に懸命に取り組むことで、成長の実感や満足感を得ることができる。
しかし40歳あたりで仕事に一定のメドがつきルーチンワークばかりになってしまう。この時期に働く意味に疑問を持ったり、面白みを感じなくなったりすることが多いのだという。
自分もこの壁にぶち当たっていた。
そこでキャリアについて考えるために色々なビジネス書を読んでいると、ちきりんの本が目に留まった。
人生100年時代の生き方を解説した本で、日本版の「LIFE SHIFT」と言える内容である。
今回は「未来の働きかたを考えよう」の内容を紹介する。
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最近話題の本「LIFE SHIFT」。副題は100年時代の人生戦略。
今後人間の寿命が延びて、100年以上生きるのが当たり前の時代が来ると予想されている。
2007年に日本で生まれた子どもの半分は107年以上…
未来の働きかたを考えよう
これまでのライフプランは仕事人生と引退後の人生の2つに分けられていた。
現役時代は一つの仕事を頑張り、定年後は貯蓄と年金でゆっくりと悠々自適に過ごすというものである。
しかし人間の寿命が延びて人生100年時代になると状況が変わる。
老後の期間が長くなると、現役時代の貯蓄で生活することは難しくなるだろう。
となると、もっと長く仕事(50~60年)を続けなければいけなくなる。
あるいは現役時代にむちゃくちゃ稼ぐか、である。
ここでよく言われるのが
- 長く使える資格・スキルを身につける
- 長い老後のために十分な貯蓄が必要
ということである。
しかし、ちきりんの考え方は違っていた。
40代で仕事を変える
長く使える資格・スキルを身につける?
まず「長く使える資格・スキルを身につける」という考え方について。
もはや50年間も同じ仕事を続けるのは現実的ではない。
50年もの間、陳腐化しない資格・スキルなど存在しないし、同じことを続けていたら飽きてしまう。
50歳の頃から特におもしろいとも感じなくなった仕事を、80歳まで30年間やり続けるのは、異なるレベルの苦痛です。
そこでちきりんが提唱するのは「40代で仕事を変える」こと。
一生に2パターンの職業人生を送り、ふたつの異なる働き方を楽しむという生き方である。
どんどん延びる定年まで無思考に今の働き方を続けて、いよいよの段階になって焦るのではなく、まだ体力に余裕がある40代の段階で次の働き方を設計する。
これによって、漫然と同じ仕事を続けるより充実した人生を送ることができるはずである。
そして2パターンの職業人生が必要な理由はもう一つある。
「稼ぐ力」である。
長い老後のために十分な貯蓄が必要?
「長い老後のために十分な貯蓄が必要」と言われるが、いくら貯金をもっていても不安は尽きない。
人生100年時代に最も必要になるのは貯金ではなく稼ぐ力である。
長生きの可能性が高まると、いくら貯金をもっていても不安は尽きないけれど、稼ぐ力がある人は安楽に構えていることができます。
稼ぐ力がある人は「今の仕事ができなくなってもなんとかして稼げるから大丈夫」と安心して暮らすことができるだろう。
「十分な貯金ができるまで今の仕事にしがみつこう」ではなく「自力で稼げる態勢を整えよう」と考え方をシフトすると楽になる。
ところが組織から給料をもらうだけの人生では稼ぐ力は身につかない。
残念ながら今の自分にはビジネススキルは皆無である。
どれだけ医学知識や技術を身につけても、ビジネスの能力は磨かれない。
市場から稼ぐ経験、ビジネス経験を積んでおくことが、長い人生では重要なことになる。
2つ目の職業人生はサラリーマンではなく、自分で稼ぐことを主眼に決めていく必要がある。
ゆるやかな引退
これまでのキャリアでは、ずっと働き続けた人が定年でいきなり働かなくなるというぶった切り型の引退が行われていた。
仕事人生を2つに分けるメリットは、引退時期を自由に決めて、ゆるやかに引退できるということである。
働いたり、働かなかったり、自分で仕事を調整して少しずつフェードアウトすることができる。
ただし収入があれば自由に引退できるというわけではない。
収入が多い家庭は贅沢になりがちで支出が膨れ上がっている。
支出が高水準であれば収入があっても引退できず、一生働かなければならなくなる。
引退の可否を左右するのは「収入ではなく支出の多寡」である。
例えば300万円の新車を買えば、維持費で年間40万円かかる。
10年間でトータル700万円。
これは生活費3年分に相当する。
つまり車を買った人は、買わなかった人に比べて3年分余分に働かなければならない。
このあたりを考えながらムダな支出を削る必要がある。
新しい人生設計には支出のマネジメントも必須である。
2つ目の仕事人生
以上のような仕事人生を2つに分けるというプランはとても魅力的に感じる。
今がちょうどその岐路に当たるわけである。
前半の仕事をパッケージツアーとすると、後半の仕事はフリープラン。
五里霧中だった20代と比べると、色々なことがクリアカットに見えているはずで選択肢は広がっている。
そして2つ目の仕事を考える上で重要なのは「自分がやりたいこと」を明確にすること。
「スゴクやりたいことは特にない」という人がたくさんいます。
私が言いたいのは、自分がやりたいことが明確になれば人生はものすごく楽になるということです。
まず手に入れたい生活イメージを具体的に想像する。
そこから逆算して、自分が望ましいと思える生活スタイルが可能になる働き方を考える必要がある。
ただ漫然と働いていたのでは、理想の生活スタイルは手に入らない。
ところが言うは易し行うは難し。
今の仕事を捨ててしまうのには、とてつもない恐怖を感じる。
これはなぜなのか。
転職の思考法
以前読んだ「転職の思考法」にまさにドストライクな記載があった。
転職をするときに恐怖を感じる人はとても多いのだという。
その理由は転職が「初めての意思決定」だから。
転職というのは多くの人にとって「初めての意思決定」だから怖いんだ。
多くの人は普段何も意思決定しないで生きている。
これまで大学→就職とレールの上を歩いてきただけで、自分では何も決めていない。
これはまさに自分のことである。
大学→就職とレールの上を歩いてきただけ。
その後の病院の異動もすべて医局の指示で、自分で決めたことは何もない。
意味のある意思決定とは、必ず何かを捨てることを伴う。
意味のある意思決定とは、必ず何かを捨てることを伴う。
これまでの人生でそんな決断をしたことがあるか?
多くの人が転職に恐怖を感じるのは、人生で初めて何かを手放すことになるからである。
多くの人が転職に恐怖を感じるのは、人生で初めて何かを手放すことになるからだ。
何かを手放す恐怖を乗り越えなければ新しい仕事人生は手に入らない。
しかしここで希望のある話もある。
この「初めての意思決定」に当たって、独身の人は非常に有利であるということだ。
ちきりんによると、独身はデメリットばかりが強調されるが、人生の選択に関してはとても自由度が高いのだという。
経済的な扶養義務のある家族のいない私にとって、必要なものは決断だけでした。
おそらく、「専業主婦」と「高額の家のローン」を抱えてしまった(ATMになってしまった)人には、第2の仕事人生は極めて実現の可能性が低いものになるだろう。
まとめ
自分に合った仕事のスタイルはどんなものなのか。
開業なのか、副業医師なのか、それともフリーランスなのか。
自分にはまだそれが見つけられていないが、以前紹介した自己分析ツールが一つの手がかりになるかもしれない。
自分の苦手なことにどう向き合っていくのか。
これはとても重要な課題である。
苦手なことに正面から向き合い克服しようとする努力は大切だろう。
しかしある程度の年齢になってきたら、向き合いかたを変えたほうがいい…
ストレングスファインダーの34資質の中で自分に無いものは
- 成長促進
- 社交性
人を育成する指導者の立場では充実感を得られない。
人脈を広げていくことが必要なアカデミアの世界に対してもモチベーションは湧かない。
大学、総合病院でのマネジメントや、学会運営に関わる仕事など、大きな組織の運営には向いてなさそうだ(そもそも医者に向いていないのかもだが)。
またたくさんの人を雇ってビジネスを拡大していくのも難しいかもしれない。
規模の拡大を目指さないスモール起業には親和性を感じる。
話題の投資マンガ「インベスターZ」を読んだ。
>>皮膚科医の読書記録8月
投資の話ばかりと思いきや、投資以外の話題も豊富。
ベンチャーや個人商店のビジネスの話。生命保険や不動産、iPS細…
またストレングスファインダーで得意な資質は
- 分析思考
- 内省
- 学習欲
一人でもくもくとコンテンツを作っていくことに親和性があるようだ。
以前読んだ「転職と副業のかけ算」に書かれていた、サラリーマンとして働くなかで得た知見をコンテンツにして副収入を得るスタイルには魅力を感じている。
最近読んで面白かった本がある。
「転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方」である。
転職について書かれた本は多い。
このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
…
また最近学んだマルクス経済学は、今後の仕事を考える上で参考になった。
医者は給料は高いのにお金を持っていない。
これは日本に限らず海外でも同じらしい。
【関連】医師にもお金の知識が大事だと思う理由
最近この事実をうまく説明できる理屈を学んだ。
マルクスの資本論である。
…
医者としてのスキルはサラリーマンとしての労働力にすぎない。
いくら専門性を高めて労働力の価値を上げても、時間とお金の自由は手に入らない。
これらを踏まえて職業人生の後半戦に向けての準備を進めていきたい。
▼今回紹介した本▼
Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア
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