想い出の扇子。

その他

「懐かしい...」

思わず広げてみる――

それは、“扇子”

2020/08/28 扇子

クローゼットにしまっていたものだ

「乳がん治療中、お世話になったなぁ...」

ホットフラッシュがひどかったホルモン療法期間

“更年期”と思われるのが嫌で、
人前で扇ぐのははばかられたが、
夏は特につらかった

幸い、当時、
扇子を使う人が増えていた頃でもあった

実際、100円ショップには、
たくさんの扇子が売られていた

...ということで、
どさくさに紛れて、私も買ってみることにした

が、そこは優柔不断な私

いや、
何事も、じっくりと考えるタイプの私

綺麗な柄の様々な扇子を前に、
一つに絞り込むことができない――

そして最終的に選んだのは、
『順風満帆』と書かれた扇子

決して“順風満帆”とは言えなかった人生

乳がんになり、さらに道は険しくなった

「これからの歩みが、少しでも良くなれば...」

そんな願いも込めた

もう何年使っていないだろう...

この扇子には、一応、“想い出”がある

それは、あまりいい想い出ではないかもしれない

が、そこには確実に、
私が病と闘ってきた軌跡があるのだ――

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Source: りかこの乳がん体験記

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