外来で患者さんの診察を行う場合、大抵は看護師さんがそばにいてくれて、色々な細かい仕事をやってくることが多いかと思います。
しかし、看護師がそばにいるだけで無用なプレッシャーを受けたりして、いろいろと焦ることも多いのです。
大学病院の例 – 良いこと・悪いこと
大学病院であれば、 それぞれの医師の外来に1人ずつ看護師を配置することは不可能です。
大学病院では医者の数が多いのに比較して、看護師の数は足りていませんから、看護師サイドとしては限られた人数で外来の業務を分担しなければならず、ある程度の仕事は医師に任せなければならないのでしょう。
これは医者の視点からすると、一般病院であれば看護師が行なってくるような検査のオーダーなんかを医者が行わなければならない一方で、外来の遅れとか、看護師の目をほとんど気にすることなく診療ができると言うメリットもあります。
一般病院の例
一般病院の場合には看護師の数以上に医者の数が少ないですから、1つの外来ブースに1人もしくは2人の看護師が割り当てられていることが多いかと思います
この場合には看護師のサポート体制が万全ですから、診察室までの患者さんの出入りや、CT、MRIなど画像検査のオーダー、関係各所への連絡など、看護師が代行してくれる場合が多いかと思います。
特にMRIなんかはどこの病院でも予定がいっぱいで、電話して予約を確定させるのが一般的かと思います。
そういう調整を看護師が率先して行なってくれるのは、医者にとっての大きな業務軽減に繋がるのです。
医者にしてみれば、本来の医者の業務である患者さんの診察とか、治療方針の決定をするだけで良いですから、雑用をしなくてすみます。非常に楽なのです。
それに、看護師自体も病院の業務に慣れていることが多いですから、阿吽の呼吸でもってして、スムーズに患者の診察進めていけるメリットもあるのです。
悪いこと
一方で外来のブースに看護師をつけ切りになる事は少なからずデメリットもあるのです。
ただならぬプレッシャー
医者と患者が話す内容は全て看護師が聞いていることになりますから、あまりこちらから無駄く話を振ったりとか、ゆったりと診察することができないのです。
と言うのも、看護師側としてみれば、目の前にいる医者には早く診察を終わらせてもらって、次々と患者を入れたいという思いがあるようです。
現実問題として定時までに診察を終わらせて、早く休憩に入りたいとか、早く帰りたいと考えているでしょうから、診察している医者側としても色々と焦ってしまうのです。
私が若い頃には、普段20分くらいで診察しているところ、患者の話をいろいろと親切に聞いてあげた結果、30分くらいかかったことがありました。
わずか10分の診察時間の延長なのですが、その患者さんの診察が終わったときには、外来看護師さがたいそう不機嫌だったのを覚えています。
つまり自分のペースで患者さんと話すことができず、ときには患者さんの話を無理矢理方向転換したりと、力技を使わなければならないこともよくあります。
診察が看護師ペースになることも
大学病院に勤務していたときには、週に何度か出張病院へ外来のお手伝いにいくわけですが、このような病院では外来の看護師の力が強く、看護師ペースで診療を進めなければならない場合も多々あります。
普段は一人当たり10分かけている患者の診察に関して、一人当たり3分くらいで診察する無言の圧力があったりして、当時はいろいろと辛い思いをしました。
まだ患者のカルテを十分に予習できていないにも関わらず、すでに看護師が患者を診察室に入れようとしていたりして、「おいおい、患者くらいこっちのペースで呼ばせてくれよ」と思ったりもしたものです。
目の前の患者の情報を知らずに患者を診察しろなんて、全くもって不適切ですし、ともすれば何かしら見逃しが怒ってしまう可能性もありますから、ありえない話なのですが…。
結局何が良いのか
つまり医者側としては、画像検査のオーダーや電話のやりとりなど、雑用的な外来の業務は看護師に任せたいと思う一方で、自分のペースで患者を診察したい、というややワガママな意見になってしまうのです。
Source: 医者夫婦が語る日々のこと、医療のこと
コメント