がんに対する免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大は?オプジーボとキイトルーダの最新情報

外科医

免疫チェックポイント阻害剤 

最近、オプジーボやキイトルーダをはじめとする免疫チェックポイント阻害剤の効果と安全性が認められ、さまざまながんに対して使用可能となってきました。
いくつかのがんでは、免疫チェックポイント阻害剤によって従来の抗がん剤治療よりも大幅に生存期間が延長する効果が示され、これまで打つ手のなかった進行がん患者さんにとって新たな希望となっています。
そこで、今回はこの免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大の現状について紹介します。

がんに対する免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大

免疫チェックポイント阻害剤とは?
免疫チェックポイント阻害剤とは、免疫細胞に対するブレーキ(免疫チェックポイント)を解除する薬剤のことです。
われわれの体には、もともとがん細胞を取りのぞく免疫監視(めんえきかんし)システムがそなわっています。そして、がん細胞を攻撃するのがNK細胞やT細胞といった免疫細胞なのです。
ただし、免疫細胞には、みさかいなく攻撃したり暴走しないように「一次休戦のスイッチ」である免疫チェックポイント機構というものがあるのです。この免疫チェックポイントのひとつが、免疫細胞が持っているPD-1という鍵穴と、がん細胞が持っているPD-L1およびPD-L2という鍵なのです。
がん細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるために、PD-L1およびPD-L2というタンパク質(鍵)を出し、これが免疫細胞のPD-1(鍵穴)と結合すると、一次休戦のスイッチが入り、免疫細胞の働き(がん細胞に対する攻撃)が抑制されます。
抗PD-1抗体であるニボルマブ(オプジーボ)ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は、簡単に言うとPD-1にふたをする薬であり、先回りしてこの免疫細胞のPD-1に結合することで、がん細胞が出すPD-L1、PD-L2との結合をじゃまします。
これにより、免疫細胞の一次休戦のスイッチを解除し、がんに対する攻撃を持続的に活性化することができると考えられています。
また、最近では抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブも登場し、実際に非小細胞肺がんに対して申請中です。

ニボルマブ(オプジーボ)とペムブロリズマブ(キイトルーダ)の適応拡大
現時点(2017年5月)でのオプジーボとキイトルーダの適応承認および申請状況をまとめます。

オプジーボの適応疾患

オプジーボは、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、および頭頸部がんに対する適応が承認されています。また、胃がんに対しては申請中です。
●悪性黒色腫(承認)
●非小細胞肺がん(承認)
●腎細胞がん(承認)
●ホジキンリンパ腫(承認)
●頭頸部がん(承認)
●胃がん(申請中)

キイトルーダの適応疾患

キイトルーダは、悪性黒色腫、非小細胞肺がんに対してすでに承認されており、ホジキンリンパ腫および尿路上皮がんに対しては申請中です。

●悪性黒色腫(承認)
●非小細胞肺がん(承認)
●ホジキンリンパ腫(申請中)
●尿路上皮がん(申請中)
また、オプジーボおよびキイトルーダは他のがんに対しても臨床試験でその有効性を評価中です。
今後さらに適応疾患(がんの種類)が増えることは確実です。
オプジーボとキイトルーダの適応拡大競争から目が離せません。

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Source: 医師が考える「がんを治すために自分にできる5つのこと」

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