話題の投資マンガ「インベスターZ」を読んだ。
投資の話ばかりと思いきや、投資以外の話題も豊富。
ベンチャーや個人商店のビジネスの話。生命保険や不動産、iPS細胞から重粒子線まで。
これらの中で11巻の個人商店の話は、クリニック開業にも応用できるんじゃないかと感じた。
投資を始めた中学生・さくらの母親が「喫茶店の経営を始める」と言い出した。
そんな個人起業にまつわるエピソードである。
今回はインベスターZから考えるクリニック開業について。
インベスターZに学ぶ起業戦略
1. スリム経営戦略
個人商店はね、スリム、シンプル、スロー、この3Sが一番
- スリム 極力少人数で低コスト
- シンプル 扱う品数が最小限
- スロー あまり忙しくない
個人商店で最重要なのはコストを抑えることだという。
スタッフや設備を最小限にして費用を抑える。
コストをかけて地域一番店を目指す方向性では消耗戦になり、いずれ疲弊し経営は苦しくなってしまう。
たとえばラーメン屋を始めるとする。競争を勝ち抜くために他店との差別化を図り材料にこだわり、人件費などのコストもかけて、行列のできる地域一番店を目指す。
しかしその経営方針では激しいシェアの奪い合いに自分から飛び込むことになる。一時はトップに立つことができたとしても消耗戦をくり返すうちに、どんどん経営は苦しくなっていく。
これは美容クリニック業界でもいえるのではないだろうか。
他のクリニックとの差別化を図るために、コストをかけて最新機器を導入する。一時はトップに立つことができても消耗戦をくり返すうちに、経営は苦しくなっていく。
スリム経営戦略から考えると美容クリニックは望ましくないかもしれない。
あなたのような医学生が多くなって過当競争になり美容外科はすでに斜陽です。これからなるなら皆がやりたがらない小児科か産婦人科がおすすめです。 https://t.co/NzyOqPkL1Q
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) September 20, 2016
2. 居抜き起業
インベスターZで勧められているのは「居抜き起業」。
居抜き起業は初期投資がかからない分、失敗が少ないという。
居抜き起業
閉店した飲食店の内装や設備が残っているので、簡単な手直しだけですぐに開店できる賃借物件のこと。
クリニックでも居抜き開業はあるようだ。さらに似たような形態としてM&Aという方法もある。
- 居抜き開業⇒閉院したクリニックの設備を引き継ぐ
- M&A⇒営業中のクリニックのカルテ、スタッフを引き継ぐ
一般的に「居抜き物件」は、設備や医療機器をそのまま引き継げる点は同じですが、既に閉院をした院又は閉院期限が決まっており、スタッフや患者様の引継ぎが無いケースが多い承継の仕方です。
一方、「M&A物件」は、まだ院長が現役で診療を行っており、患者様が付いています。そのため、カルテやスタッフを丸ごと引き継げる点から営業権を評価して、譲渡価格に上乗せされるため、居抜き案件より高くなります。
どちらがよいかは一長一短。
歯科では居抜き開業は結構メジャーになっているようだが、皮膚科では中々難しいかもしれない。
やるとしたらM&Aによる事業継承だろうか。
しかし患者が引き継げるのはよいが、古株スタッフもついてくるのが問題ではある。
スリム開業戦略を考える
ホリエモンも著書で初期投資を抑えることの重要性を語っている。
少しでも安くしたいなら初期投資を抑える
最近新しくできたお店に行くと「なんでこんなところにお金をかけるの!?」と思うことが多い。
厨房機器やインテリアに最初からお金をかけすぎだ。
借金も多くなるだろうから、それがギリギリの経営に出てしまう。
クリニック開業でもこの法則は成り立つのかもしれない。
クリニックの収益構造は以下の通りである。
>>【図解】『開業医の年収』を計算する方法|勤務医の年収と比較する
(収益)-(費用)-(借金返済)=(年収)
収益は低くても、費用と借金返済をスリムにできれば年収は確保できる。
一般的に必要とされる開業資金は以下の通り。
開業に必要な資金
- 戸建て開業で1億2千万
- テナント開業で5千万
でももっと工夫すれば初期投資は減らせるんじゃないだろうか。
調べてみると、わずか1500万円で開業した先生もいるようだ。
最初の年度をどうにか切り抜けていく見通しがつき、総額ほぼ1500万円で開業できることとなりました。
これは在宅医療専門のクリニックで、診察室が応接室のような簡易的なものだったそうなので、通常のクリニックではここまで低くはならないと思うが。
コンサルタント会社の出版しているクリニック開業本には、初期投資をなるべく抑える方法はあまり書かれていない。
でもなるべくお金をかけない開業法は選択肢として考えておいてもいいのかもしれない。
年商1億円のクリニックにするのは難しいかもしれないけど。
▼マンガで学ぶクリニック開業▼
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Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア
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