大学病院の看護師は仕事ができない。多くの医師がそう考える理由とは

大学病院の看護師は仕事ができない…

これに異論を唱える医師はほとんどいないと言っても良いでしょう。

そのように医師が考えてしまう、実際の事例について考えて見ましょう。

一般病院の看護師には当然なのに、大学病院の看護師がやらないこと

こういう事例は、たくさんあります。

大学病院の看護師は、とにかくなんでも医者にやらせようとします。

医者への連絡

大学病院で働いていた経験として、これが一番大きいですね。

ちょっとした電話連絡なんかも「先生聞いてください」といって医者がやる羽目になります。

たとえば病棟の患者で他科の医者が入力したオーダーなどで不明な点があれば、直接的に関係なくとも私たちが電話しなければなりません。

看護師が直接電話すれば良いものを、医者に電話するのが嫌なのか、面倒なことは全て我々医師に任せようとします。

一般病院であれば医師の数が少ないがゆえ、相手が医者であっても部長であっても、副院長であっても、看護師が積極的に電話してくれています。

私だってある時には、他科の看護師から時間外に電話がかかってきたこともありました。

一般病院では働いている医師が少なく多忙なため、看護師自らが電話しなければ業務が進まないのでしょう。

採血・ルート確保

数十年前に比べると、ほとんどの業務は看護師がやってくれるようになりました。

先輩医師の世代では、時間外の採血やワンショットの薬剤静注などは、すべて医者が行うものとされていた、なんていう恐ろしい話もあります。

それでも時間外や当直帯になったりすると、医者が採血をしたりルートの確保をしなければならない場合も散見されます。

本来は看護師の仕事であるべきなのですが、大学病院ではそうもいかないようです。

外来の仕事

外来の関係でいえば、検査のオーダーや予定の調整なんかも全部医者の仕事です。

一般病院では「検査日程の予約と調整をお願い」で看護師さんがやってくれていた仕事を、すべて医者が調整しなければなりません。

そのほか同意書の印刷やコピーなんかも、全部医者の仕事でした。

決して看護師がすっごく足りていないというわけでもないと思うのですが、こういう誰でもできる仕事を医者がやらなければならないのはどうなんでしょうね。

いやー、いま思い出しても大学病院でかけていた電話の半分は、予定の調整だったような気がします。

なぜ大学病院の看護師は仕事をしないのか

それは分かりません。

10-20年前に比べると、大学病院の看護師もようやく一般病院並に仕事をしてくれるようなった、ということらしいです。

大学病院で働く先生からの話でも、一般病院と大学病院では、看護師の働きぶりの差もどんどん小さくなってきているようです。

看護師の発言権が強い

理由の一つとしては、従来から大学病院の看護師団体の発言権が強かったことがあるのかもしれません。

若い看護師さんなどは、決して医師と敵対する関係でもなかったように思うのですが、集団としての看護師は力強いものがあります。

この仕事はやらない、あの仕事はやらないなど、一種の労働組合のような力強さがあったように思います。

医師の数が多い

また、大学病院では若手医師、研修医などの医師が多く働いていますから、看護師が働かなくても病院業務が進むということも背景にあるかもしれません。

一般病院で看護師が「それは私たちの仕事ではありません!」といってしまえば、たちまち病院業務はストップしてしまいます。

一方で大学病院は研修医なんかが多いですから、最終的な雑用は研修医が行うことになります。

看護師ががんばって働かなくても病院の仕事が回る、そんな背景ゆえに看護師が仕事をしなくても済んでいる、済んでいたのかもしれません。

ただし状況は大きく変わりつつある

大学病院の看護師は仕事ができない、そう書いてきたわけですが、状況は変化しています。

私が大学病院で働いていた時には、採血やルート確保などの基本手技はほとんど看護師さんがやってくれていました。

またレントゲンを撮影するために医師自らが患者の移動を率先して行うことも、ほとんど経験していません。

10-20年前の先輩医師たちのエピソードを聞く限りは、状況はここ10-20年ほどで大きく変わったということなのでしょう。

Source: 医者夫婦が語る日々のこと、医療のこと

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