おはようございます。
当ブログの読者の方から、以下のご質問をいただきました。
はじめまして、まつすけと申します。
毎日ブログを楽しく拝見させていただいております。
当方、今年の9月につみたてNISAで投資デビューをした初心者です。
初心者が知りたい、気になる事柄をわかりやすく記事にしてくださる
ちゅり男様のブログで毎日勉強させていただいています!
この度はiDeCoについてお聞きしいたいことがあり、ご連絡させていただきました。
当方のプロフィールと投資状況は以下の通りです。
・32歳、会社員、既婚、0歳の子ども1人(もう1人欲しいと思っています)
・年収650万円(妻は現在専業主婦ですが、数年後にパート復帰予定)
資産状況
・預金:800万 ※生活防衛金除く、買い場が来たら積極的に投資したい
・つみたてNISA:毎月6.6万円(夫婦2人分MAX)、現在20万程度
夫:楽天VTI、eMAXIS slim米国株式を半分ずつ
妻:eMAXIS slim バランス8資産
※夫はちゅり男様やたぱぞう様の影響で米国株のみ、妻は分散志向
・投信:野村つみたて外国株式を毎月1万円(余裕があれば増額を検討中)
基本的にはコツコツ積立投資を継続していき、買い場がきたら現在の預金も積極的に投入したいと考えております。
10年程度は上記の内容で積み立てられるだけ積み立て、子どもが大きくなってきた時点で学費等も含めて預金の比率やポートフォリオを再考する予定です。
ここまで、大きな問題はございませんでしょうか?
そして、ここからが現在の悩みなのですが、上記積み立てをしていくにあたり、iDeCoも導入すべきでしょうか?
悩みのポイントは以下の2点です。
(1)積み立て限度額が年間14.4万円と低いので、手数料が気になる
勤め先に確定給付型の年金があり、iDeCoの上限が低いです。
iDeCoでは年間の拠出1回数に減らしても871円が手数料等にかかるため、もったいなく感じます。(871/144,000×100=0.6%)
(2)まとまった退職金が出た場合、税率が上がる
退職金がどれくらい出るのかわからず、また勤め上げられる保証もないのですが・・・。
30年以上も先となると退職金にかかる税率が上がっている可能性が高い気がして、もしまとまった退職金が得られた場合に、積み立て時の控除以上に税金がかかる恐れもあるのでは?と思っています。
上記2点を考慮すると、iDeCoよりもまだ使っていないジュニアNISAを先に検討すべきか、などと考えております。
たらればの話ばかり考えても意味はないのかも知れませんが、もし可能であれば、ちゅり男様のご意見の伺いたく、よろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、これからもちゅり男様のブログで勉強させていただきながら、応援を続けていきます!
以上、長文失礼いたいました。
ご質問ありがとうございます。
前半部分に関しては、運用方針に大きな問題はないかと思います。
米国株投資がよいか、世界分散投資がよいか、株式以外のアセットにも分散すべきかというのは絶対的な正解がありませんので、割愛させていただきます。
本日は、後半部分のiDeCoに加入すべきか否かについて考察します。
iDeCoの口座管理手数料と、退職金と同時受け取りでの税金が気になる
退職所得控除は企業からの退職金とiDeCoが別枠ではない
大企業従業員や公務員のように会社の退職金が多額なケースでは、退職金の支払いとiDeCoの一時金受け取りが重なると税制上不利になります。
それは退職所得控除が企業からの退職金とiDeCoで別枠ではないからです。
退職所得控除は、勤続20年目までは年間40万円、21年目以上は年間70万円にアップします。
要するに、20年を超えて勤続年数が長くなればなるほど退職所得控除は一気に増えるわけですね。
勤続20年以上の場合、退職所得控除は下記の計算式で計算できます。
退職所得控除=40万円 x 20年 + 70万円 x (勤続年数 – 20年)
iDeCoの退職所得控除も同じ計算式で計算可能ですが、実際に適応されるのは両者のうち金額が多い方の片方のみです(要するに勤続年数かiDeCoの加入年数の長い方)。
退職所得控除の枠は二重取りできるわけではないということですね。
35年間一箇所の会社で勤め上げ、iDeCoには加入していないケース
例えば、25〜60歳まで35年間、一箇所の会社で勤め上げたケースでは、
退職所得控除=40万円 x 20年 + 70万円 x 15年 = 1850万円
となります。
退職金がこの金額を超えなければ、全額が退職所得控除されますので退職金に税金がかかりません。
仮に、この方の退職金が1800万円と仮定すれば、その1800万円に税金はかからないわけです。
この方がiDeCoに27年間加入していた場合
次に、ご質問者様の年齢に合わせて、この方がiDeCoに33歳から60歳まで27年間加入していたとしましょう。
iDeCoの毎年の掛金を14.4万円とします。
iDeCoの掛金は14.4万円 x 27年=388.8万円です。
27年間の間に運用益が112万円加わり、60歳時には500万円まで資産が膨れ上がっていたとします。
iDeCoの場合、運用益は非課税ですので税金を考慮する必要はありません。
会社からの退職金(1800万円)+iDeCoの一時金(500万円)=2300万円です。
すると、2300万円 − 1850万円= 450万円の部分に税金がかかってきます。
幸い、退職金では退職所得は半分(50%)になりますので、225万円です。
これに所得税と住民税がかかります。
所得税は、225万円 x 10% − 97500= 127500円です。
住民税は一律10%ですので、225万円 x 10% = 225,000円です。
会社の退職金とiDeCoの一時金を同時に受け取ることで、所得税+住民税で約35万円の税金の支払いが発生するわけです。
これが退職金とiDeCoの一時金を同時に受け取るデメリットですね。
iDeCoの一時金の受給時期をずらす手もある
所得税は累進課税ですので、退職金とiDeCoの一時金の受け取りが同じ年に重なると、税制上不利になります。
iDeCoは60歳を過ぎても70歳まで運用を継続することも可能ですから、退職金の受け取りが60歳の場合、iDeCoの一時金を受け取る年をずらすことで節税できるケースもあります。
ケース・バイ・ケースですので、ご自身の状況に合わせてシミュレーションしてみるしかありません。
iDeCoを年金形式で受け取る手もありますが、厚生年金の手厚い会社員の場合はiDeCoの年金受け取り分はそのまま課税される可能性が高いので難しい所ですね。
参考までに、65歳以上の公的年金等控除額は最低で年間120万円ですので、120万円以内の場合は所得はゼロとなります。
iDeCoは私ならば積極的に活用します
iDeCoの掛金が年間14.4万円で、年収650万円の場合、所得税(20%)+住民税(10%)で合計30%の節税効果があります。
よって、年間で144,000 x 0.3 = 43,200円の節税効果が、33歳〜60歳までの27年間得られることになります。
iDeCoによる節税効果は43,200 x 27= 1,166,400円です。
この結果をみれば、少なくともiDeCoの口座管理手数料はあまり気にする必要はないことが分かります。
退職所得控除について考察しましたが、あくまで今現在の話であり、何十年も先の日本がどのようになっているかは誰にも分かりませんから、若いうちに手元に残るお金が増やせるiDeCoは私ならば積極的に活用します。
まとめ
何十年も先のことは誰にも分かりませんから、若いうちに手元に残るお金が増やせるiDeCoは若い人ほど積極的に活用すべきだと思っています。
こんな記事も書いています。
何はともあれ、自分のペースで無理なく継続するというのが長期投資で最も重要な点です。
iDeCoの場合、拠出可能年数が長ければ長いほど有利です。遅くても40代までには開始したい制度です。
iDeCoはSBI証券のセレクトプランを選ぶのがよいでしょう。楽天バンガードが購入したければ楽天証券ですね。
Source: 神経内科医ちゅり男のブログ
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