“データ”がすべてなのか...

「なんでこんなに、
 抗がん剤ばかりするのだろう...」――

術前化学療法中の、彼女

画像検査の結果、大きかった胸のしこりも
ほとんどわからないくらい小さくなった

なのに化学療法は、
まだ続けなければならないという

きつい副作用に、
彼女はすでに身も心も疲弊していた

「こんなに腫瘍が小さくなったのなら、
 すぐに手術ができるんじゃ...

 なぜ、まだ抗がん剤を
 続けなければならないのか」

と、彼女は疑問を主治医にぶつけた

すると主治医は、
彼女のその問いにこう答えたそうだ

「“データ”がほしいからだよ」――

“データ”?

確かにがん治療は、
これまでの“データ”に基づいている

がん告知を受けたときのステージ(病期)による、
5年、10年生存率からはじまり、

再発・転移がんに移行したときの
5年、10年生存率

私が服用していたホルモン薬、
クエン酸タモキシフェンの副作用も、
これまでに服用していた人たちのデータを集めたもの

効果も、

“10年服用すると子宮への影響が大きくなることと、
 5年服用との再発の差がないこと”

というデータから、“5年服用”がガイドラインとなった

  ※現在では、“10年推奨”

がんになった当初、何を見ても、
「データ」「データ」

医師に何か説明を受けても、
「その“データ”があるから」だった

私は、がん告知を受けたときの全身検査で
肝臓に転移が認められていた

自分なりに調べたところによると、
私に残された時間は、早くてあと2年

『私の主治医なら、
 余命をなんと答えるだろう。
 きっとまた、
 “データ”を持ち出すだろうか...』

「あとどれくらい生きられますか?」

思い切って聞いた私の問いに、主治医は、

「データでは、あと何年――」

...ではなく、

「うーん、
 (治療をして)上手くいけば上手くいくし...、
 上手くいかなければ・・・ね・・・」

だった

さすがにがん告知を受けたばかりの私には
残された命の時間を受け止めることはできないと
判断したのかもしれない

そして主治医のその答えは、
そのときの私にとって、
どれほど救いになったかわからない

私たちが受けてきた治療は、
過去のデータをもとにしている

そして、私たちが受けてきた治療は、
今後のデータとなる

もちろん、生存率もだ

それらをひっくるめて、彼女の主治医は、
「“データ”がほしい」と言ったのかもしれない

が、
決して不安がっている患者、
恐怖を抱いている患者に
かける言葉ではないと思う

「今、あなたが抗がん剤を受けているのは、
 がんは最初の段階で、
 徹底的に叩いておいた方がいいから。
 それは再発をさせないため。
 そして、完治を目指すため」

...と、どうして言えなかったのだろう

...と、思った

患者は当然、治療を受ける

それは、“データ”のためでない

治すため

生きるため

医師から見れば、“データ”も必要なのかもしれない

が、こっちは生身の人間だ

“数値”ではなく、“ひと”として見てほしい

そんなことを思った

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Source: りかこの乳がん体験記

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