- 糖尿病の投薬選択・投薬順序に関して,日本には欧米のような『標準的投薬選択アルゴリズム』は存在しない
- したがって,病院・医師によっては 同じような病状であっても,薬の処方がまるで違うこともありえる
これが前回までの内容です.
今回の学会では,これに関連した 興味深い討論が行われていました.
軽度/中度/重度の2型糖尿病,及び1型糖尿病患者の それぞれの症例で,『次に追加処方する最適の薬剤は何か』という命題が出されています.
これに対して 3~4人の糖尿病専門医が,それぞれ もっとも適切と思う『次の一手』を提案して,
『この薬が最適だ!』
『とんでもない,こっちだろ!』
と討論を戦わせるという企画です. 実際 提示された症例は,実在ケースを基にしているので 判断に迷うようなものばかりでした.
それぞれのテーマについて 登場した演者の先生方もノリノリで,この企画を盛り上げるべく,自説の利点と他説への攻撃を面白おかしく話しておりました. 自ら楽しんでいる様子です.
もちろん 提案された『次の一手』は,すべて妥当な根拠のあるものですから,ディベートとは言っても 明らかな優劣はつきません.
この企画の秀逸なのは,1つのテーマ毎に,ディベート終了後に Liveで視聴していた人による決戦投票を募った点です.
どのテーマについても 総計300〰360名の投票がありましたが(ほとんどは専門医でしょう),興味深いことに,どのテーマにおいても,投票結果はほぼ均等にばらけました. つまり,判断に迷うような症例では,やはりそれぞれの医師の考え方が違うので,『次の投薬』も 一つとは限らない,即ち 同じ症例でも 医師によって全く異なる選択がありえることを 示してくれた企画でした.
この企画を思いついた先生に一票入れておきます.
薬の選択 [了]
[15]に続く
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ
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