厚労省は、2月18日に「医師偏在指数」に基づいて決定された「医師少数地域」を発表しました。今日はこれに関連した問題、医師少数地域、医師多数地域、診療科の偏在問題などについて書いてみたいと思います。
なお、本記事中の資料、図などについては、厚生労働省のホームページ
から転載したものであることを記させて頂きます。
医師偏在指数とは
厚労省の資料によりますと、医師偏在指数は、
ということらしいです。これだけ見るとなんともちんぷんかんぷんですが、需要を加味して調整した地域の人口に対してどれくらい医師がいるかということになります。
医師少数地域
厚労省が発表したのは都道府県単位で、16都道府県。
岩手、新潟、青森、福島、埼玉、茨城、秋田、山形、静岡、長野、千葉、岐阜、群馬、三重、山口、宮崎
となります。なんとなく、いわゆる本当の過疎地の県と、比較的人口が多いにもかかわらず医師がいない(千葉や埼玉?)県に分かれる気がしますが、理解はできる結果です。
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医師多数地域もある
今回の発表ではあまり触れられなかったようですが、医師少数地域があるなら、医師多数地域も当然あるわけで、すべての都道府県の指数が記されているのは下記の資料です。
堂々の1位は東京都でした。人口もインフラも医学部の数も群を抜いているので、当たり前といえば当たり前。2位の京都も理解できます。上位16都道府県については、東京、京都、大阪以外は、意外にそれほど都会的でない県が多いのですが、東京、石川以外はすべて西日本というのも、ちょっと興味深いですね。全体を見ても西高東低の傾向があると思います。
厚労省の意図
医師が少ない県を発表して、それらの地域の医療の充実、医師の確保を促進するといえば聞こえはいいですが、厚労省がやりたいのは最終的には都市部での開業規制だと思います。細かい議論はともかくとして、最終的な結論は「都市部の診療所医師が多すぎる」ということになるかと思います。
現実に都市部の開業医が多すぎるのであれば、新規開業を認可しなければいいので、簡単なようにも思えますが、それでは憲法違反などの懸念があり、「多すぎる、少なすぎるというデーターを具体的に指し示すことで、医師が不足している地域での就業、開業を積極的に検討してもらいたい」ということでしょう。
ちなみに
医師の偏在を議論するなら、地域ごとの偏在性を議論するのも大事ですが、診療科ごとの偏在性も議論しないといけないでしょう。この検討会では、そのことも議論されており、需給に関する具体的な資料も提示されています。例えば、
こういう感じですが、数字だけで見ると、皮膚科、精神科、眼科、耳鼻咽喉科に関しては多すぎるのでいらないです、ということになりますかね。
将来的には、診療科についても定員をもうけるなど、何らかの手段で規制をかけたいと考えているのではないでしょうかね。
こんな資料もありまして、上記で挙げられた診療科の勤務時間はやはり少なめになっているようで、なんとも肩身が狭いですねえ…。
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個人的な意見
厚労省のこういった取り組みは、必要なことだと思いますが、個人的には、
- 診療科別の必要性まで踏み込んで議論するのであれば、需要や必要性に応じた思い切った診療報酬体系とし、働き、技量に応じた報酬を得られるようにすること。
- 明確な形で、不必要なフリーアクセスを制限し、本当に必要な医療については、医師側が余裕を持って対応できるような体制にすること。
などの点をもっと議論してほしいと思うのですけど、いかがでしょうかねえ。医師の残業上限が2000時間までとか馬鹿なことをいっているようでは、お先真っ暗ですけどねえ…。
Source: 医者向けのちょっといい情報
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