最近よく聞くのが「好きを仕事に」という言葉。
ベストセラーの「LIFE SHIFT」によると、今後人間の寿命が100歳まで伸びる可能性が高いそうだ。
最近話題の本「LIFE SHIFT」。副題は100年時代の人生戦略。
今後人間の寿命が延びて、100年以上生きるのが当たり前の時代が来ると予想されている。
2007年に日本で生まれた子どもの半分は107年以上…
そうなると今までのような「60歳まで必死で働いて、残りの余生はゆっくり過ごす」というキャリアは崩壊し、もっと長く働く必要が出てくる。
嫌いな仕事も60歳までなら我慢できるかもしれないが、80歳までやり続けるのは地獄である。
しかし好きなことが仕事であれば、仕事が遊びであり、生きがいにもなるはずだ。
とはいえそんなことは本当に可能なのだろうか?
今回は好きを仕事にできるのか考えてみる。
ライフアズワーク
コンピューター研究者の落合陽一先生によると、これからの時代はいつでもどこでも情報が繋がり、仕事とプライベートの境界があやふやになっていくのだという。
タイムマネジメントの時代にはワークとライフを対比でとらえて、ワークの時間とライフの時間を区切っていました。
これからはワークとライフが無差別となり、すべての時間がワークかつライフとなります。「ワークアズライフ」となるのです。
落合先生は自分のやりたいことを24時間やっているので、ワークとライフの区別はなく、ストレスもない。
多くの人がそんな生き方を目指すべきだと述べている。
解決したい問題がある人間は、できることなら1日24時間、1年365日をそれに費やしたい。
ワーク・ライフ・バランスなんて考えたこともないし、その概念自体が私には必要ありません。
落合先生は自分の好きなことが今の時代にマッチしていた。
だが我々の好きなことが時代にマッチしていて、かつお金を稼げるとは限らない。
誰にでもこのような生き方ができるわけではないだろう。
好きを仕事にできない場合
橘玲先生は著書で「好きを仕事に」の問題点に触れている。
好きを仕事にしているとき、ひとは自分らしく生きていると感じられる。
しかしほとんどの凡人は好きを仕事につなげることができない。
好きを仕事にしているとき、ひとは自分らしく生きていると感じるのだ。
ところで好きを仕事にするにはどうすればいいのだろうか。
ほとんどの凡人は、それをどうやって仕事につなげていけばいいのか迷ってばかりだ。
そこでヒントになるのがアメリカの事例である。
とある金融機関幹部は、昔からの夢だった彫刻制作の時間を捻出するために、50代で脱サラしてフリーランスになったそうだ。
金融機関の幹部にまでなったひとが50代で脱サラしてコンサルタントになった。
ほんとになりたかったのは彫刻家で、そのために週2回は作品の制作に専念できるようにしたかったのだ。
このようにアメリカでは「ビジネスで成功してから好きなことをやる」というライフスタイルが定着しつつあるのだという。
最初から好きを仕事にしようとして失敗するよりも、先に自活の手段を得たあとで好きなことをしたほうが幸福になれるというわけである。
若いときから芸術に専念し、けっきょくうまくいかずに貧しいまま年をとっていくよりも、ずっと幸福な人生なんじゃないだろうか。
精神科医の春日武彦先生の著書を読むと、彼が医者になった理由もこれに近いものがあるようだ。
とりあえず医者になっておけば食いはぐれないし、そのあとで好きなことをしてみればいい、と。
画家で身を立てたいと思っていた時期はあったんですが、とりあえず医者になっておけば食いはぐれないし、そのあとで好きなことをしてみればいいと、これだけはずいぶん合理的な考えをしていました。
この考え方は春日先生が敬愛する詩人ウィリアム・カーロス・ウィリアムズからインスパイアされたそうだ。
ウィリアム・カーロス・ウィリアムズは詩人になりたかったが、まず自活の手段を得るために医者になった。
そうすれば生活のために書きたくない詩を書く必要はない。書きたい詩だけを書いていくことができるのである。
誰もぼくが何をどのように書くか命令できない。それが一番大事なことだった。
それゆえ書いてお金をもらうつもりはない。だから修行中は、自活の手段を持たねばならぬ。
安定した仕事を持ちながら好きなことをする。
好きを仕事によりも、こちらのほうが期待値は高そうである。
また、好きなことをやっていると、さらに可能性が広がる可能性もある。
好きを仕事にする方法
山口周先生の著書に「バーベル戦略」というものが紹介されている。
バーベル戦略とは、ある程度安定した職業を片方で持ちながら、大化けする可能性がある仕事を人生に盛り込んでおくこと。
「90%会計士、10%ロックスター」
つまり極端にリスクの異なる2つの職業を同時に持つという戦略である。
アインシュタインのノーベル賞論文も、バーベル戦略のもとに制作されたもの。
彼は特許庁の役人を務めながら、余暇の時間を利用して論文を書いたそうだ。
アインシュタインはリスクの極めて小さい仕事をしながら科学論文を書き、その論文でノーベル賞を取ったわけです。
安定した仕事を持ちながら好きなことをする。
そして好きなことが大化けすれば、それだけで食べていける可能性も出てくる。
「好きを仕事に」が実現する可能性が最も高いのはこの戦略だろう。
まとめ
正直、自分は接客の仕事は好きじゃない。
最近は客を選べない仕事が不人気になってきているという。
変な客の多い職場では働きたくない、と。
診療をしていると理不尽なクレームに遭遇することもある。
いきなり喧嘩腰。何を言ってもキレる。診察後はしっかり病院にクレーム。
その一人のせいで外来診療が嫌になる。
最近、客を選べない仕事が不人気になってきて…
「まともな人としか働かなくていい」ことが今後職業を選ぶ際に重要になってくるそうだ。
我々の仕事も客を選べない仕事の代表的なものである。
本当は一人でもくもくとコンテンツを作って生きていくのが理想である。
そこで以前読んだ「転職と副業のかけ算」に書かれていた、サラリーマンとして働くなかで得た知見をコンテンツにして副収入を得るスタイルには魅力を感じている。
前回の続き。
「転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方」に書かれていたのはサラリーマン+副業のキャリアデザイン。
サラリーマンとして自分の市場価値を伸ばし、転職で年収を上げる。
さらにサラリ…
これはバーベル戦略に相当するだろう。
「90%医師、10%ロックスター」
いまだ金時ラジオの受け売りだが、自分もそんな生き方を目指してみたい。
Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア
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