若い頃に砂糖を摂取し過ぎると脳の記憶機能に悪影響が出ると判明、鍵は「腸内細菌」かジョージア大学と南カリフォルニア大学の共同研究グループが、「青年期に砂糖入り飲料を日常的に摂取すると、成人になってからの学習や記憶のスコアが低下する」ことがラットを用いた実験で示されたと発表しました。同グループは、砂糖による記憶能力への悪影響が「腸内細菌の変化」が原因である可能性を示唆しています。アメリカ農務省と保健福祉省が共同で発行している「アメリカ人のための食生活ガイドライン」では、「1日に摂取するカロリーのうち、砂糖が占める割合は10%未満に抑えるべき」と推奨されています。また、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、9~18歳のアメリカ人が摂取するカロリーのうち、砂糖の割合はガイドラインで推奨される値を超えていて、その大部分が砂糖入り飲料によるものだと指摘しています。
共同研究チームは、「砂糖の大量摂取大脳の中でさまざまな認知機能をつかさどる海馬に影響を与える」という説を検証するため、幼若なラットに通常の餌と11%の砂糖水を与え、海馬がつかさどる「エピソード記憶」を測定するテストを行いました。その結果、幼少期に砂糖水を与えられたラットは、通常の餌を与えられたラットよりもエピソード記憶が弱いことが判明しました。
また、海馬とは関係なく、単純に以前に見たものを認識する「基本認識記憶」を測定するテストも実施。その結果、通常の餌を与えられたラットと砂糖水を与えられたラットの間に認識記憶能力に違いは見られなかったとのこと。このことから、幼少期に砂糖を大量に摂取すると、海馬の機能が妨げられる可能性が示されました。
さらに研究チームは、砂糖を多く摂取するとParabacteroidesと呼ばれる腸内細菌がラットにおいて増えることを確認。そして、Parabacteroidesが多くなるほど、学習や記憶のテストのスコアが悪くなったことも判明しました。
そこで、砂糖を摂取していないラットの腸内でParabacteroidesを故意に増やしたところ、ラットのエピソード記憶と基本認識記憶の両方に悪影響が見られました。この結果から、「幼少期から砂糖を摂取し、腸内のParabacteroidesが増加すると、成人してから記憶機能に悪影響が出ること」が示されたと、研究チームは論じました。
論文の筆頭著者でジョージア大学・College of Family and Consumer Sciencesのエミリー・ノーブル助教は、「今後の課題は、腸内細菌が脳の発達にどのような影響を与えているのかを解明することです。腸内細菌が脳の発達に影響を与える仕組みを明らかにすることで、脳が健全に成長するために必要な体内環境とはどんなものなのかがわかります」と述べました。
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Source: 身体軸ラボ シーズン2
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