おはようございます。
当ブログの読者の方から以下のご質問をいただきました。
病院勤務の39歳男性看護師です。
いつもブログを読ませていただいております。簡潔明瞭かつ、温かみのある文章で、多くの学びを得ています。
今後の投資戦略について、質問させてください。
住居建て替えを機に、ファイナンシャルプランナーに資産運用の相談を勧められ、先月から株式投資を始めています。
夫婦ともに、
つみたてNISA(33000円/月、S&P500)
iDeCo(23000円/月、全世界分散投資)
で老後資金の確保を目的に運用を開始しました。
投資資金は、月々の給与残高からまかなえる範囲内です。
質問は、現在余剰資金として、銀行普通口座に貯金している、4000万円の投資方法です。
余剰資金を長期運用し、1億円程度の資産を目指しつつ、願わくば、60歳頃を目処に、セミリタイア出来ることも視野に入れております。
ちゅり男先生が実践されている、米国株ETF(VTIやVYM)をコツコツと積立ていくことで、私が描いている目標は達成できますでしょうか?
(検討案)
VTI 1200$/月+VYM 500$/月 積立
→投資に慣れてきたら、米国高配当株の定期的な購入を検討
また、その他の運用方法で、目標達成に近ける手法はございますでしょうか?
年度始めの、診療・教育などお忙しい時期かと思いますが、ご助言いただければ幸いです。
とうぞよろしくお願いたします。
以下が家庭の現状です。
家族状況
私、妻(35歳、病院勤務看護師)、長女(4歳)、次女(2歳)
今年6月に二世帯住宅完成予定、ローン残高3500万円
貯蓄以外の資産として、
個人年金保険(払い込み済み)
10年後から5年で500万円年金払い
学資保険
14年後に500万円一括払い
があります。
インデックス投資中心で総資産1億円を達成し、60歳でセミリタイアが可能かというご質問ですね。
個人的に気になったのは「60歳頃を目処にセミリタイア」という点で、私ならば60歳にはセミではなく正式にリタイアしたいところですw
さて、以下がご質問に対する回答になります。
インデックス投資中心で60歳までに総資産1億円を達成可能か
投資に絶対はありませんが、複利計算でシミュレーションしてみます
まずは、今後20年間の積立計画が決定しているつみたてNISAとiDeCoの複利計算シミュレーションをしてみます。
つみたてNISAからいきましょう。
つみたてNISA:年利4.0%、積立年数20年、毎月3.3万円積立、非課税と仮定
つみたてNISAの投資対象はS&P500ということですね。
何%の年利でシミュレーションを行うのが適切かは意見が分かれると思いますが、ここでは年利4.0%としてみます。
20年目の時点で、非課税口座の場合、投資元本の792万円が約1200万円になっているという結果ですね。
つみたてNISAに関しては、20年後に1.5倍になっていればラッキーと考えておきましょう。
iDeCo:年利4.0%、積立年数20年、毎月3.3万円積立、非課税と仮定
iDeCoに関しては全世界株を購入されているとのことで、S&P500とどちらが有利かは分かりませんが、ここではS&P500と同じ年利4.0%と仮定しましょう。
投資元本が3.3万円から2.3万円に変わるだけですので、投資成績自体は同じですね。
つみたてNISA、iDeCoを共働きでご夫婦で実践されるということですから、20年後には運が良ければ4000万円程度の資産形成が可能という計算になります。
ただし、投資元本が約2700万円ですから大儲けしているという感じではないですね。
毎月1700ドルのETF投資についてシミュレーションする
銀行預金の4,000万円ですが、マイホーム購入を考えますとある程度のキャッシュも残しておく必要があります。
ここでは仮に、半分の2,000万円を投資に回すと仮定しましょう。
ご質問者様はVTIを1200ドル、VYMを500ドルとありますが、購入回数が増えますと手数料の分投資効率が落ちます。
SBI証券の場合、米国ETFの購入手数料は0.45%(最低5ドル、最高20ドル)かかりますので、VYMを500ドル購入すると5ドル(1.0%分)の手数料となります。
これは避けるべきでしょう。
よって、ここでは毎月1700ドルをVTIに積立投資すると仮定します。
年間約2万ドルの投資になりますので、仮に1ドル=100円と仮定しますと、10年間で2000万円分のキャッシュをVTIに投入する形になります。
まずは10年目の時点で積立結果がどうなっているかシミュレーションしてみます。
10年目の時点で売却しなければ、その時点で2944万円程度に増えているという結果ですね。
さらに10年間、追加入金無しでホールドし続けた場合のシミュレーション
この2944万円の株式を、そのまま追加入金無しで10年間ホールドし続けますと、その後も利回り4.0%と仮定すれば以下の通りです。
よって、VTI積立を初めの10年間だけ月1700ドルずつ行い、その後の10年間は追加入金なしで放置した場合、年利4.0%と仮定して4350万円程度という結果です。
ただし、VTIを最終的に売却すれば値上がり益の20%は税金で徴収されます。
また、本シミュレーションは投信積立用のものであり、為替の変動や配当の二重課税など細かい部分は一切シミュレーションしていませんので不確定要素が大きいです。
この結果を踏まえますと、VTI積立を10年目以降も継続することが可能であれば、60歳時点での1億円は十分に達成可能な目標といえるかと思います。
まとめ
インデックス投資で1億円が達成できるかどうかはタネ銭の大きさによるところが大きいです。
ご質問者様の場合、手元に4,000万円のキャッシュがあるのが大きな強みですね。
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こんな記事も書いています。
逆張りはうまくハマれば一気に資産を増やせますが、運の要素もからんできます。
適切に分散されたインデックスファンドであれば、バイ&ホールドでも問題ありません。ただし、購入時期によってリターンは大きく変わるでしょう。
常にある程度のキャッシュポジションを確保しながら相場に臨むのが適切です。
Source: 神経内科医ちゅり男のブログ
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