“ババ抜き”状態。

その他

「あそこの病院の診察券あったっけ...」

引き出しに手を突っ込んだ母の片手に
握りしめられた複数枚のカード

「ほら、これ見て」

母は手にしたカードを、
まるでトランプでもはじめるように扇状に広げる

「え? なにそれ」

怪訝そうに見つめる私に、
母は楽しそうに言う

「病院の診察券」――

数えると、優に十数枚

まるでババ抜きでもはじまりそうな状況だ

当時は、なぜあんなに診察券が溜まるのか
不思議で仕方がなかったのだが...

が、とうとう私もその域に到達しつつある

2022/06/21 診察券

  ○歯科
  ○内科×3
  ○外科
  ○産婦人科
  ○整形外科
  ○耳鼻咽喉科
  ○皮膚科
  ○脳神経外科

...と、現在10枚

捨てたのは、
乳がんを見落とされたクリニックの診察券と、
4年に一度通っていた整骨院

整骨院は、院長ががんで亡くなったから

私より若かった院長

ご近所ということもあり、
家族同士、少し交流があっただけに
衝撃が大きすぎた

院長が亡くなったのは、
私が乳がんになって1年くらいの頃だった

「実は僕も、
 いつどうなるかわからないんです」

そう言っていた

施術してくれる白くて温かな院長の手は、
そのときすでに黒ずんでいた

それがきっと、死のサインだったのだ

「私もこうして死ぬのかな...」

と、悲しみと恐怖でいっぱいだった

この診察券

20年以上行っていない病院もある

事故で救急搬送され、
それっきりの病院、

風邪で一度行っただけの内科、

脳ドックを受けただけの病院...

捨てるわけにもいかず、溜まる一方

それどころか、
新たに3枚ほど増えそうな勢いである

もうすでに、
カードケースに入りきらない診察券

「なんでこんなに診察券溜まるの?」

と、
あのとき母を責めた自分を責めるのである――

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Source: りかこの乳がん体験記

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