おはようございます。
債券ETFの中で最も人気のある商品と言えば、米国総合債券ETFであるBNDとAGGです。
両者ともに数千以上の債券銘柄の集合体で、圧倒的な分散性を持つことと、ETFですのでいつでも現金化(ドル)可能な点が魅力です。
本日はBND(正式名称:バンガード・米国トータル債券市場ETF)をご紹介させていただきます。
【BND】 バンガード・米国トータル債券市場ETFはポートフォリオのバランサー役に最適
債券投資の必要性について
シーゲル博士の『株式投資の未来』によれば、債券の長期リターンは株式を下回ることが明確に示されており、長期投資では株式が主力になることは間違いありません。
一方で、短期〜中期的な暴落に対して、ポートフォリオに債券を一定割合組み込むことによって下落耐性を高めることには意味があると思います。
「株式100%が長期投資においては有利である」と机上の理論では理解しているつもりでも、実際に自分の金融資産の5割が溶けて消えるような大暴落が訪れた場合、精神的に動揺して余計な売買を繰り返してしまう可能性があります。
株式を20年以上に渡ってホールドし続けるのは、簡単そうに見えて非常に難しいことです。
暴落は来てから備えていては遅いとよく言われますので、特にポートフォリオの総資産額が大きくなってきている方は、相場のよいうちに今一度リスクを見直すことをおすすめします。
リスク管理を特に注意したいのは以下の方
投資のリスクについて、特に注意したいのは以下に該当する方です。
1) 総資産額が大きくなってきている方
2) 投資を始めたのが1〜2年以内で、取得価格が高い方
1) に関しては、同じ割合の下落であったとしても、総資産額が大きい方ほど下落した金額の絶対値は大きくなります。
トータル100万円のリスク資産であれば、仮に50%下落して50万円になってもたかが知れていますが、1000万円のリスク資産が500万円になればそれなりのダメージがあるはずです。
500万円の損失となると、給与所得から補填するのはなかなか厳しいですね。
ただし、1)に該当する方はそれ相応の投資歴を有している可能性が高く、リスク管理についてある程度準備が整っている人が多いかもしれません。
より心配なのは2)に該当する方です。
ここ10年間は、ほとんどの期間で順張り相場でしたので、順張り相場の初期に取得した株式に関しては相当な含み益が発生しているものと考えられます。
一方、ここ1〜2年以内に新規に投資を始められた方は、ほとんどの株式の取得価格が現在値と比較的近いでしょう。
よって、2〜3割程度の暴落でも買値を大幅に下回る可能性がありますので、心づもりが必要です。
あらかじめルールを決めて債券を一定の割合保有するのも一考に値するでしょう。
BNDのベンチマーク、経費率、純資産総額は?
BNDのベンチマークは、ブルームバーグ・バークレイズ米国総合浮動調整インデックスです。
米国の投資適格債券市場全体へ幅広く分散投資が可能で、平均残存期間が1〜5年と5〜10年の短期〜中期デュレーションの債券に主に投資をします。
構成債券銘柄数は約8500と十分に分散されており、政府系債券が大半を占めることが分かります。
この分散性がBNDの大きな魅力であり、生債券の保有では不可能です。
BNDですが、
1) 経費率:0.04%
2) ETF純資産総額:約400億ドル(約4.4兆円)
と圧倒的な低コストと流動性を実現しています。この点は全く問題ありません。
BNDの過去のリターンは?
BNDの過去のリターンを見ていきます。
純粋な取引値の推移と、分配金込みのトータルリターンを比較してみます。
まずは、純粋な取引値の推移です。
BNDが設定された2007年からの11年間の推移を示します。
株式ETFとの最大の違いは2008年のリーマンショック時の取引値の下落幅でしょう。
グラフの形だけ見ると、一見大暴落をしているように見えます。
しかし、実際には2008年初めに約78.5ドル→2008年秋に約73ドルと、最大ドローダウンが約7〜8%に抑えられています。
2018年に入ってからは米国債の利上げ局面によって取引値が下がっていましたが、利上げ局面で値が下がるのは債券ETFの宿命と言えますね。
一方、2019年に入ってからは米国長期金利の低下に伴い債券ETFは絶好調です。
配当込みのトータルリターンは以下になります。
トータルリターンになりますと、純粋な取引値の推移とは違った景色が見えてきます。
配当金再投資の効果がいかに大きいか実感させられますね。
債券投資で約10年間で+50%のリターンならば十分という方も多いのではないでしょうか。
あくまでドル建ての話ですので、円換算をするとここまで話は単純ではありませんが、ドル建てポートフォリオを保有している方にとっては魅力的な投資先の一つでしょう。
BNDの分配利回りは?
BNDの分配金利回りは約2.5%〜3.0%で安定しています。
毎月分配ですので、毎月少額ずつのインカムゲインを手にしたい方には適しています。
特に、資産運用のスケールが大きくなってきたら、一部をBNDやAGGで保有し、安定的なインカムを狙うのは悪くないですね。
一方、投資規模の小さいうちは株式メインとしてキャピタルゲインを積極的に狙いに行くのがベターかもしれません。
若い人にとっては、株式ETFと異なり主力にはなりえませんが、ポートフォリオのバランサー役としてはこれ以上ない役者と言えるでしょう。
まとめ
ドル建てでポートフォリオを組んでいる方が、ポートフォリオのバランサー役として保有するにはうってつけのETFです。
債券ETFですので、全くの無リスクではありませんが、リーマンショック時のドローダウンが7〜8%にとどまる点は注目すべきでしょう。
【おすすめ投資本】
バンガードのボーグル氏も、債券部分は「総合債券市場」に連動する商品を購入することをおすすめしています。
インデックス投資は勝者のゲーム──株式市場から確実な利益を得る常識的方法 (ウィザードブックシリーズ Vol.263)
- 作者: ジョン・C・ボーグル,John C. Bogle,長尾慎太郎,藤原玄
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こんな記事も書いています。
米国株投資であれば、株式ETFはVTI、債券ETFはBNDまたはAGGが王道だと思います。
投資を始めたばかりの頃は、運用総額も少ないため、株式100%で積極的にリターンを狙いに行くのはありでしょう。
サラリーマン投資家であれば、ボーナスの時期にリバランスをしたりリスクの見直しをするのがおすすめです。
Source: 神経内科医ちゅり男のブログ
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