さまざまな痛み止めが販売されています。
それは痛みの作用機序に効くポイントがそれぞれ異なるからです。
そして
それぞれの痛み止めには
さまざまな副作用が伴います。
時には
処方する医師にも予想外の副作用もあります。
痛み止めの薬の一つに
神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛に使われる
プレガバリンがあります。
ガバペンチノイド系薬剤の一つです。
日本でも「リリカ」としてよく使われている医薬品です。
リリカの主な副作用には
めまい、傾眠、意識消失、眼障害(弱視、視覚異常、霧視、複視など)があります。
また
急激な投与中止によって
不眠、悪心、頭痛、下痢、不安、多汗症などの症状があらわれることがあります。
他の重大な副作用としては
心不全、肺水腫、 横紋筋融解症、腎不全、血管浮腫、低血糖、間質性肺炎
そして
さまざまな精神障害があります。
添付文書の副作用の項目には
発生頻度は少ないものの
ありとあらゆる精神障害の副作用が書かれています。
スウェーデンでガバペンチノイド系薬剤(リリカとガバペン)を処方された
15歳以上の19万1,973人(女性59.1%、45歳以上75.4%)のデータを解析した論文があります。
BMJ(2019; 365: l2147)
この二つの薬剤は
同じガバペンチノイド系薬剤というものに属しています。
論文のタイトルがすごいことになっています。
「ガバペンチノイド系薬剤と自殺行動、薬剤過量投与、外傷、交通事故、暴力的犯罪との関係性」
bmj.com
この研究結果によると
添付文書にも記載されていない重要な副作用が明らかにされています。
それは
自殺行動や偶発的過量服用、事故、交通事故、暴力的犯罪のリスクが上昇すること
です。
筋骨格系疾患が最も多く、47.9%(9万1,932人)
あとは精神疾患が32.1%(6万1,526人)、てんかんが5.7%(1万891人)でした。
自殺行動・自殺による死亡:1万26例(5.2%)、
偶発的過量服用:1万7,144例(8.9%)、
外傷:7万522例(36.7%)、
交通事故:1万2,070例(6.3%)、
暴力的犯罪による逮捕:7,987例(4.1%)、
暴力的犯罪による有罪判決:4,787例(2.5%)
が発生しました。
リリカでは、
全ての項目で発生リスク上昇が認められました。
リリカは
さまざまな一般的疼痛に対して広く使われていますが、
その処方には
実は
学術的根拠もないことも明らかにされています。
慢性腰痛に対するガバペンチノイド系薬剤の効果をメタ解析した研究報告があります。
この研究結果は
ガバペンチノイド系薬剤は、プラセボ(偽薬)と同等に鎮痛効果はなく、
めまい、疲労、視覚障害、思考困難などの有害事象が
ガバペンチノイド系薬剤を服用した群で明らかに多く認められた
という結果になっています。
医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に
リリカ(成分:プレガバリン)を急性と慢性の坐骨神経痛の効果について調べた論文が出ています。
「 Trial of Pregabalin for Acute and Chronic Sciatica」
オーストラリアからの研究報告です。
この論文の詳細については
ひかたま:坐骨神経痛にリリカは効くのか?
に詳細に解説しています。
リリカの論文はもう一つあります。
腰椎神経根症の疼痛を対象としたドイツの研究です。
(Pain 2010;150:420-427)
どちらの論文での調査でも
効果は期待できないものであり、
副作用は明らかであったということ。
日本の医療現場では
それでも
なぜか
リリカは処方されることの多い薬物。
根拠のない「適応外有害処方」が蔓延しているのです。
ちなみに
米国食品医薬品局(FDA)は、
抗菌薬フルオロキノロン系薬の枠囲み警告の改訂において、
自殺念慮のリスク増大との関連を示唆しています。
これに対する反論もあるものの
製薬会社の資金提供による研究による反論では
正確な評価が出来るのかどうか。
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Source: ひかたま(光の魂たち)
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