お家で過ごしたら、こんなにもお風呂とか入れてくれて、
綺麗にしてもらえるなんて知らんかったです。病院なら、
シャワーもできない状態で、体を拭いてもらうだけだったし、、、
父親に肺がんが見つかったのは1年前。
娘さんたちは、人生の最期を暮らす父の望みを叶えるためとは言え、
お家での療養を、決心するのを悩んでおられた。
病院ホスピスも選択の一つ。正直、肺がんという病気の最期が怖かった。
僕らの取り組む在宅ホスピスって、どんなのか、その時はご存知ではなかった。
お家で最期を過ごす時、そこにもいたって普通の暮らしが存在する。
朝起きて、娘さんに「おはよう」と声をかけ、
おトイレに行き、顔を洗って、そして、娘さんが用意した朝食を食べる。
決まって、耳にはイヤフォンでラジオを聴いておられる。
娘さんがお仕事に行く時は、娘さんは「行ってきます。」
それに、答える。「気をつけてな。」
娘さんが仕事に行っている間は、訪問看護さんがやってきて、
お体のケアを適宜していく。お通じのことなんかも確認する。
別の娘さんと交替で、日中を過ごされる。
週2で、訪問入浴さんで、ゆっくりお風呂をされる。
お仕事から娘さんが帰ると、夜の眠り薬を飲んで、お休みに。
決まって、深夜三時ころ目を覚まされ、2階で寝ている娘さんに声をかける。
少し喉がゴロゴロ言うから、身体の向きを変えたりして過ごされる。
無理くりの苦しい痰吸引なんて、これっぽっちも必要ない。
そんな普通の最期の暮らしを、過ごされ、そして、、、、
今朝、いつもの深夜三時頃の娘さんとの大切なお時間に。
娘さんが、介護休暇を取ろうか取らまいか、
悩み始めた頃を察してか、天国へ旅立たれた。
窓の外は、まだ薄暗い、でも、いつもの親子の大切なお時間に。
最期の『死』を考えるのではなく、
最期まで『暮らし』に思いを馳せながら、
人は生きていく。そして、死ぬ。
改めて、尊厳とはなんなのか、そんなことを考えさせられた。
素敵な出逢いと素晴らしいお別れだった。合掌。
お看取りの帰り、ちょっと、車で仮眠してたら、
車の窓に朝の光。そして、ラジオからこんな曲が。
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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