先生、ホンマひどい目にあったわ。ワシな、病院嫌いや言うとったやろ、
そやさかいにな、山の上にあるあの病院から、ここまで逃げ出したる言うてやったんや。
そやけどな、大晦日前にな、こうやってな、生きて帰してくれたさかいにな、今度はな、
病院入れよったアンタのな、話ちゃんと聴いてな、あの病院二度と入らんで済むようにな、
今度こそ言う事聞こう思とんのや。大嫌いな薬もな、ちゃんと飲むわな、言うテモな、
アンタとは相性良さそうやしな。頼むな。今度は入院はせえへんで。
もういよいよが近いさかいに、人様に迷惑かけられんし、
嫁さんも病気がちやし、ワシを病院でも施設でもほりこんでほしいわ、
先生、どこなとないかいな、ワシも嫁さんも、一緒に入れる病院は、、、
こう懇願されたのが、一ヶ月前。心不全も高血圧も、そして、意欲も、
メッチャ改善していただき、ベストのタイミングで今日の夕方、退院されてこられた。
地域を愛する、ザイタクを愛する、Stationの美人訪問看護師さんと、
診察しながら、年末年始の対応、内服等々の確認しながら、
強気に戻ったお父さんの冒頭のおしゃべりを聴いていた。
胸の聴診しながら、
お父さん、お迎えはまだみたいやで。心臓エエ音や。大丈夫や。
そっか、ワシな、長生きしたないし、お迎え来てもエエんやで。
西郷どんみたいにな、もうな、名声も命も金も、要らんねん。
そやけど、お金はあったほうがよおないか？
美味しいご飯かて食べれへんやん、お金ないと。
そやなあ、ご飯は食べたいなあ、、、
医者になんか世話にもならんと決めて生きてきたけど、
あの入院だけはあかん、ご飯もいつもの半分や、、、
そやからな、今度こそなちゃんとアンタの言う事聴くわ。
西郷どんはしばらく辞めとくわ、ご飯食べたいしな、
やっぱ、家にも居りたいさかいにな。。。。。
ずーーーーーっと、話が続いていくので、
また来ます、良い年をお迎えください。って、
話を切って、立ち上がり、年内の定期訪問を終了した。
僕らが決めることを迫るのではなく、
ありのままに、生きていく、暮らしていく。
そこに応じて、職責を果たす。ただそれだけ。
開けるも自由、開けないも自由。僕らは玉手箱でいいはずだ。
いろいろな意味で今年一番の診察だった。
来年は、ここに力を入れよう。勝負の場所は見えている。
ザイタクはいつだって初舞台。
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