がんになって、こんなに生きられるとは思っていなかった。

「がんです」――

そう告げられたとき、
たぶんほとんどの人は、
死が過ぎったと思う

どんな手術をするのか、
それがどれほど痛いのか、
どれくらいで回復するのか、
想像ができない

どんな治療をするのか、
その副作用はどうなのか、
全くわからない

そんな中で進んでゆく手術や治療

しかもその治療はつらく、長い

つらい治療の最中は、
これからどうなるのか先が見えない

今、このつらさに耐えるだけ

そのつらさも
いつまで続くかわからない

そこに未来はあるのか...

私は生きられるのか...

そんな不安しかない

それを乗り越えたとき、

「がんでも生きられる」

そう思えてくる

これからやりたいこと、

これからやらなければならないことが
見えてくる

そして、

“がんになってできなくなったこと”が、

“がんになったからできること”に
変わってゆく

そのたび思う

“ひとは、意外と強い生き物”だと

悩んで苦しんで不安いっぱいの心

きっとそうやって、
少しずつ時間が変えてくれる

“生きる”って、すごいこと

“生きる”って、奇跡

“生きる”って、やっぱり素晴らしい――

  これまで、
  たくさんのがん患者さんに会ってきた

  泣いて、
  心が壊れて、
  ただ虚しくて、

  そんな人たちが、
  時間とともに笑顔を取り戻してゆく

  その姿を見ていると、
  こっちまで嬉しくなる

  笑顔になるまでは
  簡単じゃないかもしれない

  心から笑えるようになるまでは
  時間がかかるかもしれない

  それでも必ず心は蘇る

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Source: りかこの乳がん体験記

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