メトホルミンを内服しても,その半分は体内に吸収されず,しかし すぐに排泄もされず,消化管の内壁に滞留して『塗り薬』として血糖値を下げている
これが前回記事の内容でした. もちろん『塗り薬』と言っているのは ぞるばだけですから,あまり真に受けないでください.
しかし 仮にメトホルミンが『塗り薬』だとすると(← 全然めげていない),イメグリミンはどうなのでしょうか?
手っ取り早く 結論だけ申しますと,イメグリミンもまた『塗り薬』的に作用している,しかも その度合いはメトホルミンよりも大きいと考えています.
【根拠1】イメグリミンの糖新生抑制効果
ラットでの実験ですが,肝臓細胞にメトホルミン 及び イメグリミンを振りかけて,単位時間あたりの糖新生量を測定しています.
グラフが下にあるほど,肝臓での糖新生が抑制されたことになります.
この図の通り,イメグリミンの糖新生 抑制能力は,同じ薬剤量であれば,メトホルミンの半分くらいです(赤点線). つまりイメグリミンの糖新生抑制能力は弱いようです.
【根拠2】血中濃度が妙に低い
もう一つの根拠は イメグリミン及びメトホルミンを服用した時の血中濃度です.
イメグリミン 及び メトホルミン それぞれの薬の添付文書から,健常者がそれぞれを単回服用した後 24時間の血中濃度を比較するとこうでした.
どちらも 服用後3時間ほどで,血中濃度~1300ng/ml ほどでピークに達します.
しかし,これはメトホルミン 500mgと,イメグリミン 1,000mgのデータです. イメグリミンの方が2倍多いのに血中濃度はほぼ同じなのです.メトホルミンの分子量=165.62 とイメグリミンの分子量=191.66 は ほぼ同じなので,これは そのまま各薬剤の分子数の血中濃度にほぼ等しいです.
つまり,イメグリミンは服用してもメトホルミンの半分くらいしか 全身循環に回っていないことになります.
イメグリミンの吸収率(Bioavailability)の実測値は公表されていないですが,このデータを見る限り,かなり低いと思えます.
ところが それにも関わらずです,イメグリミンは投与後 数ヶ月後までじわじわとHbA1cを下げていくのです.
これは,イメグリミンが メトホルミンよりもさらに『腸に塗る薬』っぽいことを示唆していると思います.
やはり『イメグリミンも腸で効く』薬のようです.
【完】
END
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ
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