いったい、どこに向かう?
病院で面談があり、入院中の情報が共有されていく。
その人を表現する時、いつもどこか、違っている。
血圧や体温や、治療方法や、病室での生活動作なんかが、
ツラツラと申し送られていく。その情報はなぜか、薄っぺらい。
まあ、それにももう慣れたけど、、、その申し送りが終わり、
みんながその部屋からハケた後、彼女がボソって僕の目を見て言う。
先生、あのね、ワタシ、私ね毎日、般若心経を毎日よ、唱えてきたの。
毎日よ、毎日。だからね、もう空で、言えるんよ。ホントよ。
そう、、、、ちょうどいいところでお迎え来てくれないかしら。
皆さんや娘に迷惑をかけてまで、生きている自分は申し訳なくて。。。
終わりにしたいの、、、
病診連携や、在宅医療の認知を広げる前に、
そして、自分たちの職場の働き方改革の前に、
やるべきことを忘れてはいないか?
いったい、僕らはどこに向かおうとしている?
研修医時代、同級生が死んだ時、彼の親父さんは言った。
医者である前に、まずは、人として、どうあるべきか、
学んで欲しい、知っておいて欲しい、と。
彼の死のおかげで、研修医制度は新しくなり、
新しい医療界?が作られ、もう四半世紀。
やっぱり、彼女のリビングウィルは、
医療の世界の中からは、見えないものなのか。
あまりに疲れたので、ちょっと夕方、
相談所のベッドで寝落ちした((笑))
自身の最期と向き合う時のあのすがるような彼女の眼。
そこに、少しでも、救いの手を差し伸べられる自分でありたい。
まだまだ努力が足りないことを再確認できた。
何気ない日常にこそすばらしさがあり、
皆その日常を一生懸命に生きておられる。
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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