目の前で言い合いが始まった。
「オマエ、病気したこと無いからわからんのやろがいなあ。」
「親父、ほんなら電話してくんなや、胃が痛いとかしんどいとか。」
「こっちが痛い時、電話ぐらいええやろがい、しんどいのわからんのかあ。」
「今、ほんなら病院行って点滴でも、しに連れて行ってやる言うとるんやないか!」
「朝からお粥食べてワシ自分でちゃんと様子見とる、言うてるのがわからんのか?!」
「ほんなら、こっちも仕事があるんやから、もう好き勝手に呼ぶなや。」
「何回も何回も大丈夫か大丈夫か、聞くからうっとおしいねん。ほっとけや。」
この会話を一番最初に戻って繰り返す。
口悪い口喧嘩の父親と息子の会話を、
足を骨折して父親より棺桶に近かった母親が、
ニコニコ聞いている。
海苔巻きと稲荷寿司を頬張りながら。
この絶妙な家族のバランスが崩れないように、
僕が大好きなベテラン訪問看護師と協力して、
そっと、ほんとにそっと、訪問を繰り返す。
こんなザイタクも、やっぱり素敵だ。
今日もザイタクに『くびったけ』
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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