先生、ワシもう病院はエエわ。
ワシが歩いてきた道や。
ワシが思うようにさせてくれ。
梅が咲く頃。
車から降りて自宅に入るのも、どうにもこうにも大変で、
家族みんなで抱えないといけないくらいの呼吸状態。
治りきらない肺炎もそこそこのとこまで来ていたが、
彼は彼の人生を歩むことがなぜ悪い?!と言わんばかりの顔をして、
初対面の若造の僕に、最期まで自分の人生を歩ませて欲しいと
頬が痩せこけ入院が長引いたこともあっての髭面の強面で、
それでも、僕の目をしっかり見て、冒頭の言葉をはっきり仰った。
1ヶ月もないと言われた彼の人生も、
梅が咲き、桜が散って、新緑も越え、夏になった。
家族を大きくし、家族を日々悩ませ、家族に甘えた彼は、
家族全員が集まるのを見計らっていたように深夜、
彼の作り上げたとても立派な家の彼の部屋で、
大切なご家族に囲まれて旅立たれた。
自分自身のこと、自分の人生のこと、
こうやってしっかりと表現しても、
時に、我儘だと人の目に映っても、
やっぱりザイタクは全てが愛おしい。
今日も大切なことを教えて頂いた。合掌。
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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