もうこんでええ。何しに来よるんや。
私はもう立てるし、大丈夫や。
言葉が強くなってきた。痛みも随分和らいでいる。
実際に、立ち上がって、ズボンを腰まで上げたりできる。
1日2回の入浴と、1日5回ほどの浴室での排尿。
週2回の、土間を越えての排便。
それらの移動は全て這っておられる。
食事は、左不全麻痺のご主人が用意する。
用意してもらった食事は残さず平らげる。
これらの日常生活動作は、もちろん毎日だ。
左大腿骨骨折してから毎日欠かすことがなかった。
手術治療もなく、内服治療も無し。
もちろんのこと、訪問リハビリもなく、
そこにあったのは、
遠方のご家族の毎日交代で見に来られる愛と、
来るな言われても訪問続けた訪問看護があって、
とうとう、ここまでたどり着いた。
もう今では、
ご家族からホンマ骨折あったんか?!
ってぐらいになってきている。
僕らの医療は、果たして患者の人生を
本当に豊かにしているだろうか?
僕らのエゴで治療を行ってはいないか?
上から目線の押しつけではないか?
彼女やご家族の、家へのこだわり、生き抜く力を見て、
訪問診療のあり方を考え直す機会になっている。
それでも、僕は思うところもある。
一縷の望みを、ちゃんとつなぐために僕は、
誰よりも「ここだよ」と一番輝く星でいたい。
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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