おはようございます。
当ブログの読者の方から、下記のご質問をいただきましたので回答させていただきます。
毎朝の更新を楽しみにしている者の一人です。
特に「買値で全てが決まる」的な思考は自営業を営む自分として全く同感であり、本多静六の「私の財産告白」と橘玲の「臆病者のための億万長者入門」を紹介してもらったことに感謝している次第です。
現在、ちゅりお先生を真似て非リスク資産のキャッシュを相場に合わせてドル積立し、円安が一定のレベルに達したところでの売却を検討しております。
2017.10.28掲載の「『マンガーの投資術』を読んで、改めて現金ポジションと「座して待つ」ことの重要性を再認識した」と重複する可能性がありますが、ちゅりお先生のご意見等を賜ることが出来れば嬉しく思い、ご相談させていただきます。
< 現状 >
・39歳の夫婦と子供二人で自営業。自宅は賃貸で事業は安定無借金経営。
・年間可処分所得約500万円のうち、2分の1は資産運用に回している。
・生活防衛資金以外の資産をリスク資産と非リスク資産に分けて運用中。 ・リスク資産はiDeCo+積立NISAにてインデックスファンドを継続購入中。
・非リスク資産は個人向け国債だったが、ちゅりお先生のブログに気付かされ1年かけてキャッシュに変えている最中。
・非リスク資産のキャッシュが300万円ほどあり、3万円/月を積み増している。
・海外ETFを購入する予定はない。
< 相談したい部分 >
・キャピタル狙いでトレードする事はリスク資産に見えるが、キャッシュポジションを変えているだけで価値が目減りしている訳でもないと思っているのだがどうなのか。
・上記のような非リスク資産を使った、息の長いスイングトレードをどのように思われるか。
以上です。ちゅりお先生の知見で助言を頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
ご質問の要点としては、
「手元の日本円を利用してドル積立をして、円安が一定のレベルに達したところで売却するという、為替差益を狙った外貨投資」
の是非ということですね。
為替差益を狙った外貨投資は安全な投資手法か?
結論から書きますと、為替差益を狙った外貨預金で安定した利益を上げ続けるのは非常に難しいです。
私ならばやりません。
為替の動きは読めないことと、ドル自体はあくまで通貨であり、株式や債券のように付加価値を生み出す資産ではないからです。
また、外貨預金の為替差損益は税制上雑所得としてみなされますので、損益通算ができない点も大きな欠点です。
このように、外貨それ自体を長期で保有し続けるのはデメリットが大きいです。
せめて、特定口座内で管理可能な外貨建てMMFにして、雑所得ではなく譲渡所得の扱いにすることが望ましいでしょう。
米ドルを保有するのは株式や債券などの「資産」を手に入れるため
私が日本円をコツコツドル転しているのは、あくまでドル自体を保有することが目的ではなく、最終的にドル建ての株式や債券といった「資産」を購入するためです。
もちろん、ドル転した後に「買い」のチャンスが訪れるまでじっと待ち、その結果としてドルを保有し続けることはあります。
しかし、それは為替差益を狙っているわけではなく、あくまで自分の欲しい「資産」の買い場が訪れるのを待っているだけです。
為替差益を狙って外貨預金で儲けようとする手法は昔からありますが、為替の動きを正確に読み切るのはプロでも難しいと思います。
実際、株雑誌ではしょっちゅう為替レートの予測記事が取り上げられていますが、何年たっても「当たるも八卦当たらぬも八卦」という状態ですからね。
専門家であっても為替の流れを読むのは難しい、おそらく株価の動きを読むよりも難しいという事実は知っておいた方がよいでしょう。
為替リスクのある米ドルは日本国内においては無リスク資産ではない
海外では、世界の基軸通貨である「米ドル」を、自国内の第二通貨として使用している国がいくつもあります。
そのような国においては、ドルの流動性が担保されていますので、自国通貨以外にドル自体を保有することに一定の意味があります。
ところが、日本国内では米ドルを保有していても実生活のうえではほぼ役に立ちません。
それは、日本に住んでいると実感しづらいですが、日本円は国際的に見て非常に強い通貨の一つだからです。
日本国内で流動性が担保されているのは「円」のみですから、日本国内に住んで生活している以上、円のみが真の無リスク資産と考えてよいでしょう。
為替差を利用した売買で儲けようとするならば、少なくともドル「積立」はない
為替レートの差を利用して外貨預金で儲けるという手法自体は、昔からよくある手法で珍しいものではありません。
ただ、為替差を目的とした売買で儲けようとお考えならば、少なくともドル「積立」というのはよくありませんね。
ドル「積立」は、私のように、為替レートの動きを読む自信がないので、高すぎず・安すぎず、ちょうど平均くらいで購入できればよいという考えの人が利用する制度です。
仕込んだドルを利用して、長期で保有すれば勝てる確率の高い「資産」を購入する前提があるからこそ、ドルは平均点くらいの水準で購入できればよいという考えが成立します。
初めから為替差益を狙って外貨投資をするならば、それこそ買値に徹底的にこだわり、勝つ確率を極限まで高める必要があります。
自分なりにこのレートなら勝てる!と自信が持てる水準になるまでひたすら我慢し、勝負どころが来たら一括でドル転するくらいの気概が必要でしょう。
また、冒頭に述べたように、外貨預金は為替差損益が雑所得となるため、損益通算ができず税制上は不利であることを認識すべきです。
まとめ
為替差益を狙った外貨投資は昔からよくある手法ですが、いざやってみると為替の変動というのもは予想以上に読めないことがよく分かります。
円高の時にドルを仕込み、円安に振れたところで売ることで利益をあげるつもりならば、少なくともドル「積立」は悪手だと思います。
【マネックス証券】
外国株ならば昔からマネックス証券が強いですね。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券のネット証券大手3社に関しては、とりあえず口座開設だけしておいて損はありません。
こんな記事も書いています。
ドル建て生命保険のように、為替リスクのあるもので流動性の低い資産というのは、非常にリスキーだと思います。
長期投資家であれば、シンプルに、長期で見た時に値上がりしていく可能性が高い資産を仕込むことに集中すべきでしょう。
最近では、円-ドルは大体80円〜120円の範囲内で動いています。ドル建てポートフォリオを組む時は、この範囲内で為替リスクを検討するとよいでしょう。
Source: 神経内科医ちゅり男のブログ
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