本年 最初の投稿です.
おめでとうございますとは,とても言えない年明けですね.
それにしてもなんという正月なんだ.
元旦の地震は関東地方でもかなり揺れました. 非常に長くゆっくりとした揺れなので,遠いとは思いましたが,まさか能登半島だったとは.
被災された方に心からお見舞い申し上げます. 私にできることは 義捐金・支援金の寄付くらいですが,受付が始まれば申し出るつもりです.
そして翌日の羽田空港衝突事件で 正月気分は決定的に吹き飛びました.海上保安庁の飛行機は ボンバルディア DHC-800/300だそうですから,私が与那国島に行った時に乗った飛行機= DHC-800/400とほぼ同じ機体です. とても小さな飛行機なので,JAL機の機長は着陸直前に視認できなのかったのでしょう.気づいていればとっさに 緊急加速して Go Around したはずですから.
AIだのITだのと言われているのですから,あの管制塔と離発着する航空機とのやりとりを,AIが常に監視・解析して,『誤解が発生しています.C滑走路に 二機が同時に侵入しつつあります!!』というアラートを出せるようにできないものでしょうか.
2024年の糖尿病 展望
新春恒例,今年の糖尿病に関するイベントを拾ってみます.
【1月】
まず 今月26日から京都で 第27回 日本病態栄養学会 年次学術集会 が開催されます.
日本病態栄養学会とは,『(患者の)病態に応じた栄養評価を正確に行ない、生体の代謝栄養にもっとも適した栄養管理を行うこと』を研究する学会 です.
実際,前回(第26回 2023/01/14)の学会では,糖尿病関係に限定しても;
●合同パネルディスカッション4:1000万通りの個別化栄養療法の構築に向けて [1/14 16:00-17:50]
●コントラバシー2:SGLT2阻害薬は栄養学的に良いのか,悪いのか [1/15 9:00-10:00]
と 合計 約3時間の講演・ディベートが行われました.
ところがこれと比較すると,今回では 明確に糖尿病の食事療法にFocusしたシンポジウムはこの1本だけです.
〇 日本糖尿病学会 合同パネルディスカッション1:個別化栄養療法の確立に向けて
関連するだろうと思われるものには,この2本がありますが;
〇 シンポジウム4:食環境の乱れ ~改めて見直す日本食のいいところ~
〇 コントラバシー3:食事の食べ方
どちらも特に糖尿病に限定したテーマではありません.シンポジウム4では,『日本食』=『健康食』という礼賛一辺倒と予測されますが,きちんとその根拠を示せるのでしょうか.
【2月】
2月には 上記の学会のすぐ後(2/16-17)に,そして 場所も同じく京都国際会館で,医師を対象とした,糖尿病の基礎研究・臨床研究を総合的に解説する講演会『第58回 糖尿病学の進歩』が開催されます.
ただし,こちらも昨年とは打って変わって,糖尿病の食事療法に関する講演が極端に少なくなっています.
下記の通り 30分の講演が2本行われるだけです.
〇 専門医更新のための指定講演5:糖尿病における食事療法の意義と課題
〇 糖尿病診療に必要な知識5:糖尿病の食事療法Update
このタイトルと演者だけから判断すると,目新しい情報は出そうにはありません.
なお,この講演は;
〇 シンポジウム6:2型糖尿病治療の根本:食欲・食行動の制御
2型糖尿病患者は,まず食いすぎをやめろという意味なのでしょうか.
さらにこういうものもありますが;
〇 糖尿病療養指導に必要な知識4:カーボカウントの実際
『カーボカウントは1型糖尿病患者だけが行うもの= 2型とは関係ない』と断りを入れるだろうと推測します.
ここまでの2つの学会を見ると,糖尿病の食事療法については 全般に昨年の熱意がしぼんでしまったようにみえます.
【3月】
食品交換表に代わる,糖尿病食事療法のガイドブック=『健康食スタートブック』 が 学会のWEB上で発行されるとアナウンスされています.
前後関係からみて,この『健康食スタートブック』の内容は 前記 『第58回 糖尿病学の進歩』の『糖尿病診療に必要な知識5:糖尿病の食事療法Update』で 事前紹介されるはずです.
【5月】
第67回 日本糖尿病学会 年次学術集会 [東京]が開催されます.
まだ概要プログラムすら発表されておらず,内容は現時点では一切不明です.今回はややスポンサー集めに苦労しているようですね.
珍しいケースですが,この大会の会長は 日本糖尿病学会の植木理事長が努めます. したがって,理事長声明と会長講演は 植木先生が続けて行うことになります.
【6月(予想)】
『糖尿病治療ガイド 2024-2025』が発行される予定です. これは 糖尿病専門医ではない一般内科医が糖尿病を診断・治療する際の簡易ガイドです.
ほとんどの内科医は このガイド通りの治療をそのまま実行します.その方が(医師にとって)安全だからです.
発行されると 全国の主な書店で必ず入手できます.安価(~1,000円)なものなので,糖尿病治療中 又は 予備軍の人は 一冊買っておいても無駄にはなりません. あなたの主治医が何か指示を出してきたら,『あ,これは 治療ガイドの あのページに書いてあったことだな』と察しが付きます.
つまりこの治療ガイドが変わらなければ 日本の糖尿病治療は何も変わらないのです.
今回の改定では,最近登場した デュアルアゴニスト(マンジャロ)などの情報を 昨年版に追記するだけでお茶を濁すことのないようにしてほしいですね.いくら1000円程度の安価なパンフレットとはいえ,その程度のことなら素人でもわかりますから.
また 2型の患者はすべて過食と運動不足による肥満 と決めつけるのは もうやめてもらいたいものです.
【10月頃(予想)】
『糖尿病診療ガイドライン 2024』の発行が予定されています.
まぎらわしい名前ですが,上記の『糖尿病治療ガイド』は,糖尿病を診察・治療する一般内科医向けの簡易マニュアルですが,この『糖尿病診療ガイドライン』は糖尿病専門医向けの詳細なガイドラインです.ページ数も 約500頁,価格もおそらく5,000円ほどのずっしりと重い書籍です.
前回発行は2019年でした.それまでの通例は3年毎の改訂だったのですが,今回改訂はそれから5年も経過しています. まさか5年たってもほぼ同じ内容を踏襲することはありえないでしょうね.
このガイドラインでは,延々30年も続いている 『糖尿病食事療法の迷走 』 に,今度こそ はっきりとカタをつけてほしいものです.
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ
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