おはようございます。
初心者が新NISAで個別株を買う場合、注意しなければならないことがあります。
それは、NISAは利益に対して税金がかからないという大きなメリットがある一方、損失が出た場合の救済策が少ないという点です。
初心者が新NISAでいきなり個別株というのはやめておいた方がよいです。
初心者ほどなぜかボラティリティの高い銘柄に手を出すことが多く、NISAの「損益通算できない」「繰越控除ができない」というデメリットが致命的になりうるからです。
まずは王道の投資信託で始めましょう。
— ちゅり男/医師・投資ブロガー (@churio777) March 17, 2024
具体的には、「他の口座の取引と損益通算ができない」「確定申告による繰越控除が受けられない」というのがデメリットになります。
長期保有を前提としたインデックスファンドの場合は問題ないのですが、適切なタイミングで損失確定が求められる個別株では時に致命的になりえます。
初心者が新NISAで個別株は難易度が高い!損益通算と繰越控除が不可というデメリットあり。オルカンやS&P500などの投資信託で始めよう。
初心者ほど「今話題の銘柄」に手を出して損をする確率が高い
どういう理由かはよく分かりませんが、初心者の方にはけっこうチャレンジングな方が多く、いきなり「今話題の流行りの銘柄」に飛びつく方がいらっしゃいます。
話題の中心になっている銘柄というのは、多くの人の注目を集めており、大抵はその時点で「割高株」になっているものです。
購入した後しばらくは株価が上がる可能性がありますが、永久に株価が上がり続ける株というのはありませんので、いずれ下落局面が訪れます。
今年話題になった株だと、例えば「さくらインターネット」ですね。
こういう株には初心者は絶対に手を出してはいけません。
Sakura Internet Inc (3778) Stock Price & News – Google Finance
一般的に、急激に上がった株は下がる時のスピードも速く、よほど投資経験を積んだ人でなければ適切なタイミングで売り抜けることはできません。
多くの方は下落するスピードについていけず、売るべきか否か迷っている間に損失を拡大してしまい、そのまま塩漬け株にしてしまう可能性が高いのです。
私もこれまでの投資人生で何度か手痛い失敗をしましたが、幸い投資している金額が少額だったこともあり大怪我には至りませんでした。
課税口座の場合、仮に損失が発生しても「損益通算」や「繰越控除」という救済策があるため多少ダメージを軽減できます。
しかし、NISAだとそのような救済措置もないため、一度の失敗が致命的になる可能性があるのです。
NISAの「損益通算不可」「繰越控除不可」が致命的になることも
上記の理由から、NISA口座で「今流行りの株」に大金を突っ込むことは、最も危険な行動の1つであり、絶対に慎まなければなりません。
2024年1月〜3月にかけて日本株、米国株ともに絶好調だったこともあり、NISAのメリットばかりが取り上げられ、デメリットをきちんと考えている人が減っている気がします。
NISAの最大のデメリットが、
1. 他の口座と損益通算ができない
2. 確定申告による繰越控除が不可
であることです。
損益通算というのは、複数の株取引で得た損失と利益を合算してから最終的な課税対象額が決まる制度です。
つまり、個別株で損失が発生しても、NISA口座以外の課税口座の場合、他の株で発生した利益と相殺することで節税することができるのです(下図参照)。
これは、適切なタイミングで損切りすることが重要な個別株投資では大きなメリットです。
拙著『世界一やさしい投資信託・ETFの教科書1年生』P.181から引用
繰越控除というのは、課税口座内の株取引で損失が発生した場合、確定申告をすることで翌年から最長3年間損失を繰り越すことができる制度です。
個別株で大きく負けても、繰越控除の手続きをしておけば、その後3年間の間に他の株取引で発生した利益と相殺し節税効果が得られます。
こちらも個別株中心に取引をしている方には、損失が発生した時の救済措置として大変重要です。
拙著『世界一やさしい投資信託・ETFの教科書1年生』P.182から引用
ところが、NISAでは損益通算も繰越控除も受けられないため、初心者がNISAで個別株投資というのは非常に難易度が高いのです。
王道のeMAXIS SlimオルカンやS&P500などの投資信託で始めよう
NISAは儲かった時の利益が非課税になるという大きなメリットがある一方、損をした時の救済策が少ないというデメリットがあることが理解できたかと思います。
このようなNISAの性質を考えた場合、できるだけ損失を確定しなくて済む投資先を探した方が簡単というのは誰にでも理解できるでしょう。
よって、個別株を楽しむなら損益通算や繰越控除などが可能な課税口座で少額にしておき、
老後資金を育てるという意味合いが大きなNISA口座においては、eMAXIS SlimオルカンやS&P500などの王道のインデックスファンドがオススメです。
また、新NISAでは売却した分の非課税枠が翌年に復活するとは言え、投資タイミングを狙った売買も難易度が高く、初心者向けではありません。
新NISAは長期保有が鉄則で、短中期での売買は最小限にとどめた方がよいでしょう。
まとめ
NISAで個別株というのは思いの外難易度が高いです。
儲かった時は問題ありませんが、損失が出た時の救済策が課税口座より少ないからです。
損失を確定せずに済む投資信託やETFの方が簡単でしょう。
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Source: 神経内科医ちゅり男のブログ
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