理事長の意図

健康法

日本糖尿病学会など医学系の学会は,毎年1回 「学術集会」を開催します.学会の 報告事項や次年度計画などを決議する(=総会)だけでなく,糖尿病医学に関する討議や報告もこの学術集会で行われます. よく医師が『学会で報告した』と話すのはこの集会のことです.

年に1回開かれる 日本糖尿病学会の年次学術集会学会は,学会の最大行事ですから,その会長を務めることは大任であり またたいへん名誉なことでもあります.そこで通常は 学術集会の企画・運営を行うために,その都度「大会会長」を選任します.学会のトップである理事長は,毎年の学術集会を,この大会会長に委任するわけです. 実際 私が学会に野次馬参加するようになった頃からの大会会長をみるとこうなっていました.

理事長とは別に,大会会長は 毎回 それぞれ別の先生がつとめたことがわかります.
しかし,最下行をご覧ください.今月開催される第67回では,植木理事長が自ら大会会長をかってでたのです. これはきわめて異例なことです.

そもそも学会の理事長に就任するだけでも 大変なことです.その上 さらに学術集会の会長もつとめるなると更に激務が加わります. 植木理事長はなぜそうしたのでしょうか?

それは どうしても実行したいことがあったからだと思っています.

その一つは「糖尿病に対するスティグマの撲滅」なのでしょう. 医学系学会としては おそらく初めての試みである『患者を招待して 生の訴えを聞く』という,この企画 を実現するには大会会長に就任することが必要だったのです.患者の生の声を聞いて,糖尿病を治療する医師にスティグマの実態を強く知らしめたいという意図を感じます.

ぞるばの個人的見解ですが,糖尿病に対する 世間のいわれなき差別感=スティグマは,医療関係者関与していたのではなくて,医療関係者こそが作り上げてきたものだと思っています.それには 過去に日本糖尿病学会が一般内科医向けに発行してきた『糖尿病治療ガイド』において,『2型糖尿病は過食と運動不足が原因だ』と記載し続けたことが大きく影響しています.

もう一つ 植木理事長が次回 会長をつとめることになった目的は『学術集会をその名にふさわしく学術討論主体のものとする』ではないかと思います. と言うのも,次回大会では シンポジウムが非常に多数行われるからです.

過去の大会を見ると,おおよそ 20~30本ほどのシンポジウムを行うのが通例でしたが,次回は なんと46本ものシンポジウムが開かれます.おそらくこれまでで最大でしょう.

しかも これらのシンポジウムのテーマを見ると[PDF],その内容は 素人のぞるばでは歯がたちそうもない 基礎医学的テーマが多数を占めています.

次回学会で,大会会長でもある植木理事長は,大会のテーマをこう命名しています.

糖尿病という病気をなくすには,『これをのめば 糖尿病は3日で治る』などという 魔法の薬を追い求めるのではなくて,基礎研究をとことん突き詰めることこそが,実はもっとも近道なのだ,こう主張しておられるのではないでしょうか.

実際,これだけの企画を盛り込んだために,今大会の予算は大きく膨らんだと見られます. 前回(2018年) 東京で開催した時には,会場は有楽町の国際フォーラムだけで十分でした. しかし,今回はそれ以外にも2つの会場(JPタワー,東京商工会議所)を手配しなければならなくなりました.しかも,それでも会場が不足したのでしょう,教育講演は すべてWEB配信となっています.

ひさびさに 『明確な意図』を感じる学会になりそうです.

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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