一年目の言語聴覚士(ST)の福ちゃんと、
当時リハ医駆け出しの27歳のタナカは、
患者さんに食べれるようになって欲しい一心で、
田舎の老人病院の夕食の食事介助(直接訓練)を、
夜な夜な病室に行って、してた。
92歳の峰子さん。誤嚥性肺炎を繰り返す。
そんな彼女は大好きなおうどんを食べたい。
入院中の栄養手段は、経鼻胃管。状況を考えて内科医は胃瘻も検討中。
年齢のことは言いたくはないが、今更胃瘻?って感じもあって。。。
実際、経口摂取につながる機能改善訓練は、
直接訓練(食べ物を直接食べる訓練)であるのだが。
ST福ちゃんの訓練室で日中のリハビリの
間接訓練(頸部の嚥下筋の筋トレ・発声等)以外に、
ベッドサイドで、リハ医の責任下で、
実際に食べる直接訓練を夜な夜なしてた。
夜の訓練で大好きなうどんを召し上がった翌日、
峰子さんは、急変。天国へ旅立たれた。
ST福ちゃんも、リハ医駆け出しのタナカも、
彼女との経験は、悲しみと共に大きな財産となった。
彼女の嚥下造影検査所見用紙を今も大切に持っている。
彼女の大好きなおうどんを食べたい意思を尊重するあまり、
医療者として患者の命を守る責務を果たせていただろうか。
峰子さんとの経験から、23年。今も考え続けている。
僕の中で、今、一つの答えは、
誰も誤嚥は避けられない。が、
リカバリーは誰にでもできる。だ。
そして、もう一つ。
前のめりになっちゃう自分を戒め、
もっともっともっと言葉を勉強して、
この『たべる』を、そして、そのリカバリーを、
嚥下障害で苦しまれる人々を支える人々に、
ちゃんと本質を伝えていきたい。
今日の日曜日は、ベッドでずっとゴロゴロしてた。
『たべる』のチャレンジ時に、もっとリカバリーの仕方を
ちゃんと知ってもらわなきゃ。そして、伝えていかなくっちゃ。
そんなことを沸沸と思い描きながらゴロゴロしてた。
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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