鳥取倉吉で歯科医をしていた祖父は、祖母を早くに胃がんで亡くし、
一人になってからの食事は近所の喫茶店定食屋スナック混合みたいな、
そんな路地裏のお店で、ちょくちょくしていたようだ。
親父と田舎に帰った時、そのお店の奥から、
随分と年齢のいったおばあさんママさんが、
藤吉さんの孫か⁈よお来たなあって、
めっちゃくちゃ甘いコーヒー牛乳を、
氷たっぷりで入れてくれた記憶がある。
親父も歯科医で旅立つ前日まで、
入れ歯を修理したりしてるくらい、
路地裏の地域医療が好きだった。
僕が10歳の頃、大阪総持寺で開業して、
僕が50歳の時に、旅立った親父。
40年も、その土地で歯科診療をしてた。
親父は、母が生きてるころから、
いつも仕事帰りに行く寿司屋があった。
カウンターの端っこに座り、
キープしてある麦焼酎吉四六さんを、
ロックでまあまあハイペースで飲む。
最近自分も似てきて困ってるとこだが、
周りの客や大将に強引にお酒をふるまい、
あれやこれやと話をしまくる。
酒飲みだけに酒飲みが好きだった。
祖父や親父みたいに地域の路地裏の飲むとこが憧れだった。
昨夜、自分だけの時間が手に入ったので一人呑みへ出かけてみた。
台湾料理屋さんで、同世代の女将さんが、一人で店を回している。
カウンターの端っこに座り、ジンジャーチューハイをグビグビと。
豚足焼きと麻婆豆腐で、21時から23時閉店まで。楽しかった。
カウンターで一人呑んでると、
隣の同世代のおっちゃんが、息子さんと二人。
楽しく飲んでたので、途中からご一緒した。
彼は自動車整備工で、会社をしてる社長さん。
あんた、先生かあ、、何科やっとるん?
お~流行りの『在宅』いうやつやな!
お家で、チン!って、する先生にな、
釈迦に説法かもわからんけどな、一つ、
ワシの知っとるな、動物の『死』のな、
大切な話を教えといたるわ。女将も聴いときや。
あんな、生き物が死ぬときにな、
残るもんがな、数え方なんや。
牛は、一頭、二頭、やろ? 頭やな。
牛の頭は、食べへんからな。残るやろ。
魚はな、一匹、二匹、三匹やけどな、
一尾、二尾とも言うやろ。せやからな、
シッポや、尻尾。魚はこれが残るんや。
じゃあ、人間はどないや?わかるか?
一名、二名、言うやろ。そういうわけや。
名を残すんや。先生な、お看取りの仕事やろ。
患者の名前、ちゃんと残したってや。
チューハイ一杯ご馳走さんやったな。
今度は、ワシに奢らせてや。ほなサイナラ。
地域の路地裏の飲み屋にも、ちゃんと、素敵な死生観がある。
地域医療にどっぷりハマって、やっとここから始められそうだ。
皆さんもここ三田に、
遊びに来ていただければ、
呑むのご一緒しましょう!
僕もあなたも大して変わりはしない。
雨も雲も太陽も時間も目一杯感じながら僕は進む。
うるせえな 負けねえぞ 明日はどっちだ 君はどこにいる。
いつか絶対死ぬ。死んだ後も名を残すなんて欲のかきすぎだ。
今日は大好きな曲三曲ドドンッ!と、良かったら聴いてください。
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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