がんが騒ぎ出す季節 ~“がん”という代償~

「あぁ、まだ来るのか...」

がんが騒ぎ出す季節がやってきた

いや、正確には“傷痕”だ

2週間ほど前だろうか

朝、ペキッと痛みが走った

「しばらく痛みが出ていなかったのに、
 寒くなりはじめると
 やっぱり出てくるのだな...」

乳がんの手術から、
とうに17年が過ぎた

なんなら18年目が目の前だ

なのに、未だに
腋窩リンパ節郭清をしたところが痛む

おっぱいや
二の腕からひじにかけての皮膚の感覚も
鈍いまま

  この鈍さがまた、
  触れると気持ちが悪いのだ

わきの下がつっぱる感じも
完全には元には戻っていない

左腕(手術をした側)は
力も入らない

真上にもあげられない

なんだか左腕全体が重い感覚がして、
できれば動かしたくない気持ちだ
(わきの下も痛いし)

がんのこと、
忘れる時間が増えた

が、そんなときに痛みが走ると、

「あぁ、私は乳がんだった」

と、その現実を突きつけられる

「この痛みは一生ものか...」

と、思う

たとえ乳がんが完治したとしても、
この痛みや不快な感覚は
消えることはない

“代償”というには
あまりにも長すぎる

いや、代償ならもっとある

がんと闘うため、
がんから命を守るため、
たくさんのものを失ってきた

たくさんのものを犠牲にしてきた

たくさんのことを諦めてきた

がんになると、
『第2の人生』とよく言うが、
まさに第2の人生だと思う

それは、がんになったからこそ、
知ったことがあったから

見えたものがあったから

気づいたことがあったから

悲しいことも
笑顔に変えて

流した涙を感謝の気持ちに変えて

諦めてきたことは、
新しい道を探して

そして、“今”がある

だから、“今”がある

泣いてばかりいても、
強くなれる

人間、自分が思うより、
きっと大きな力を持っている――

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Source: りかこの乳がん体験記

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