その後は結局、ネタ切れでマンガ家引退を決めました。担当だった編集長にその意思を伝えると「最後にうちで発表した作品をまとめて単行本にしよう」と言ってくれて、夢日記を元にしたマンガも収録されることになりました。
単行本の表紙絵は、締切前日にはほとんど出来上がっていました。絵柄は女性の周りに数枚、白い紙を描き、そこに自分の夢日記の絵と文字を描き込んでいました。ただ1枚だけ空白のままだったんです。何を描こうかギリギリまで悩みました。
その夜、奇妙な夢を見ました。映画のスクリーンのような真っ白なところに文字が表示されたのです。
「大災害は2011年3月」
目が覚めた時、「これを書いちゃおう」とひらめいて、空白だったところにこの文言を書きました。もしかしたらということもあり得るし、書かないで後悔するよりは、と思ったのです。それが引退前最後のペン入れとなり、『私が見た未来』の表紙絵が完成しました。
ちょうど1999年7月のことで、同月中に人類滅亡の日が訪れるとされた『ノストラダムスの大予言』が話題になっていましたが、それは意識していませんでした。
ただ、編集者は嫌がっていましたね。「なんでこんな未来予知みたいなことを描いちゃったの。外れたらどうするの」と。当時は2011年なんて10年以上先ですから、それまで覚えている人はいないはず、となだめましたが、ウーッと唸られてしまったのを覚えています。
忙しい日々を送るうちに2011年3月を迎え、東日本大震災が発生しました。大きな揺れの中で「あの夢の年月どおりだ!」とは……全然思わなかったです。自分で書いたことさえ忘れていましたから。
ですから、単行本の表紙の「的中」に最初に気づいたのは、私ではありません。震災からそれほど経っていない頃に「夢が当たっていたとインターネットに載っていたよ」とか「一部の人が騒いでいるみたいよ」と人から聞いて思い出しましたが、「ふーん、そうなんだ」と受け流しました。その時はすぐに沈静化したようでしたし、そのまま忘れられていくだろうと考えていたのです。
※2つのランキングクリック宜しく。
Source: 身体軸ラボ シーズン2
コメント