“看護師になりたい”という夢

思えば、私には
「看護師になりたい」という夢があった

それは幼稚園の頃

まだ“看護婦”と言っていた時代だ

“看護婦”は
当時の女の子が憧れる職業だったこともあり、
私もその“憧れ”に乗っかっていた

中学1年になり、
そろそろ自分の将来を考えはじめる

　　中学1年生じゃ、
　　まだまだ子ども

　　大人になって思うことは、
　　“将来”や“未来”なんてきれいごと

　　現実はもっと厳しい

その頃もまだ
“看護師”という夢は持っていた

幼少期の“憧れ”は
いつしか“自分の未来”として
考えるようになっていた

その頃は、
まだネットなどない時代

そんな中でも
いろいろと調べてみると、
“看護師になるには4年かかる”と知る

「4年．．．⁉
　2年くらいでなれると思っていたのに、
　そんなにかかるのか．．．。
　そんな時間はかけられないな」

と、あっさり諦める

どうも当時から、
“私には時間がない”という思いが
強かったらしい

それに、
すぐに結果を出したいタイプ

そんな私に“4年”という歳月は長すぎた

そして乳がんになって、
看護師さんには本当にお世話になった

「こんな激務、
　私にこなせるだろうか．．．」

と、子どもの頃に抱いていた、
“看護師になりたい”という夢を思い出す

「看護師になって、
　十数年後、乳がん発覚．．．。
　そうしたら、
　私は看護師を続けているだろうか．．．」

そんな夢の続きを考えてみた

人生、
自分が描いていたシナリオ通りにはいかない

私もどれほど書き換えたか．．．

が、その先には
新しいシナリオが創られている

そのシナリオを
どう脚色していくか．．．

あしたはまだ見ぬ未来

どんな世界が待っているのか
楽しみでもあり、不安でもあり．．．

とどのつまり、
その一瞬一瞬を
大切に生きていくだけである

後悔のないように

忘れ物を置いていかないように――

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Source: りかこの乳がん体験記