【この記事は 第29回 日本病態栄養学会年次学術集会のレポートではなく,オンライン講演を視聴した ぞるばの感想です】
昨今の物価高,人手不足による人件費の高騰は,病院食も直撃しています.直近の厚労省による診療報酬改訂において,入院基本料は 昨今の物価高・経費高騰を反映したものとなっていますが,おそらく焼石に水でしょう.
病院食の価格とコスト
病院が入院患者に食事を提供した場合は,「入院時食事療養費」として,常食1食あたり下記の請求ができます.特別食は更に加算がつきます.

2024年以来,3年連続で値上げされています.しかもその値上がり分は,すべて患者の自己負担です. さぞかし病院は潤っただろうと思う人もいるでしょうが,実は2024/06の値上げは実に30年ぶりだったのです.しかもこの3年連続の値上げを行っても,病院は なお大赤字を抱えたままです.なぜなら 1食あたりの実際のコストは 800~1,000円なのです. 毎日毎食,患者に食事を出すたびに 赤字が確実に積み重なっていきます.
食事が出せない
「患者には直接関係のない問題だろう」と思われがちですが,これだけでも病院経営の大問題です.ところが,このセッションでは 病院食のかかえるもっと大きな問題が報告されました.

ある日突然給食委託業者から 事業停止を通告された
給食業者といえども営利企業です. 利益が出ない,やればやるほど赤字となれば倒産するしかありません. しかも赤字でなくても,昨今の人出不足で,事業を続けたくとも人手が集まらないので継続できないという事態が頻発しています.

2023年9月 施設向け給食大手のホーユーの突然の破産は,全国で大問題になりました.

今や 病院食は 集中給食センターで作られているところも多くなっています. 突然 委託業者から事業停止を通告されても,おいそれと院内調理施設など作れるわけもありません. 入院患者に食事を出せないという事態が長期化すれば,病院閉鎖ということもありえます. もちろん,ことがことですから,地元自治体などの最大限の協力は得られるでしょうが,そもそもいい解決案があるならば 最初からそうしていたはずです.
京大病院やトヨタ記念病院といった 盤石だろうと思える大病院ですら,この問題が実際に発生した,という報告には驚きました.
大病院の巨額赤字が問題になっています. しかし,病院の食事提供が赤字なので,医療にまわせる経営資源が限られてしまったら,もっともダメージを受けるのは患者でしょう.
「患者には直接関係はない問題」と書きましたが,大都会でも大問題になるのに,過疎地域で 唯一の頼りであった 入院病床のある病院がなくなってしまうと,生死にかかわるのは患者なのです.
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ


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