前回のつづき。
Youtubeチャンネルが話題になったゲームクリエイターの桜井政博さん。
そのYoutubeの元ネタとなった全9冊のコラム集を1ヶ月かけて読破した。
内容は桜井さんがプレイした様々なゲームの感想、ゲーム制作の裏話、制作ノウハウ、ゲーム業界に対する提言など。
桜井さんは多種多様なゲームをプレイし、その面白さを分析してゲーム作りに活かしているようだ。
わたしは、どんな遊びでもそのおもしろさの原理を知りたい!と思っています。
「ウイイレを楽しむ才能(ゲームについて思うこと2)」
新しいおもしろさを生もうとしたら、おもしろさが芽生える仕組みをさまざまな視点で理解している必要があると思います。
「誰かの遊びを作ること(ゲームを作って思うこと2)」
そんな中で培われた彼のゲーム作りの哲学がとても面白かったので、前回に引き続きその内容を紹介する。
プロモーションの仕事
ゲームは内容がよければ売れるというわけではない。
ゲーム制作だけでなく、桜井さんが力を入れるのがプロモーションの仕事である。
いまの時分のゲームは、内容が良ければ売れるというわけではなく、お客さんに正しく届くようにするためのプロデュースが肝心です。
「ガチャフォースに見る商品像(ゲームについて思うこと)」
初代スマブラは、発売当初はイロモノと見られて評価が低かった。
クロスレビューの評価もイマイチだったような。
「ホームページと企画とお客さん(ゲームについて思うことDX)」
そこで桜井さんは公式ホームページを自作し、精力的に情報発信を行った。
それによってユーザーに魅力が伝わり、最終的には大ヒットする。
その後も作品の魅力を伝える公式ホームページを自ら運営している。
積極的に制作を続けていたページが、過去に3つあります。ほとんどの原稿は、自分自身で書きました。
「ホームページと企画とお客さん(ゲームについて思うことDX)」
加えてSNSを使った情報発信も自ら行う。
きょうの一枚として、わたしが撮影した、開発中の画面写真を提供しています。
「公開するほど口をつぐむこと(ゲームを作って思うこと2)」
これらは本来は広報の仕事。
しかし最も効果の高い方法として、広報に頼らず自ら行うスタイルにしているとのことである。
プレゼンはとても重要です。本来、こういった要素は広報チームに任さるべきで、人にゆだねる検討を進めたこともありました。
だけど、いちばんうまくできる方法として、いまの制作体制になっています。
「かけ算、テンポ、そして興味(ゲームについて思うこと2015)」
ステージ上でのプレゼンも自ら原稿を書き、自分で行う。
原稿を書き、時間を測りながらセリフをあてがい、途中に挿入する実演解説の構成を考え…。
「誤解に対してなんとかしたい(ゲームを作って思うこと2)」
おなじみの参戦ムービーのプロットも自ら書いている。
参戦ムービーも作ります。これもユーザーの楽しみだし、力を入れたいところです。
最初のプロットは自分で書きますし、日ごろから細かくチェックをしていきます。
「かけ算、テンポ、そして興味(ゲームについて思うこと2015-2019)」
こうした取り組みが作品の人気を支えているのである。
トップクリエイターたるもの、自らの作品のプロモーションも積極的に行うべきなのだろう。
かつてスティーブ・ジョブズもプレゼンを最重視し、全精力を傾け数週間かけて徹底的に準備したと言われている。
ジョブズ自らプレゼンの構成を練り、リハーサルに丸2日かけ完璧な構成を模索していく。
桜井さんもそれに近いものがありそうだ。
制作環境
桜井さんはフリーのゲームクリエイターである。
もともとは任天堂の子会社であるハル研究所に所属していたが、マンネリ化を感じて独立。
同じ会社、同じメンツで何年も同じことをしていくのは、ものを作るということにとって刺激が足りないと思うし。
「去りゆく仲間(ゲームについて思うことX)」
その後、コンサルティングの仕事でゲーム業界に貢献するつもりだったらしい。
フリーのゲームデザイナーになったとき。自分自身はもう、ゲームを作らなくていいか、とまで考えていました。
いままでのノウハウを伝えることで、その人たちがより良いゲームを作っていくなら、それが業界にとっても良いことかと。
「あなたはなぜゲームを作り続けるのか?(ゲームについて思うことX)」
とはいえコンサルティングは思うようにいかなかったようだ。
人に伝えるのには限界もあります。実際に自分がやって見せないと意味がない瞬間もある。で、今後もそうすると決めたわけではないのですが、いまはディレクターをやっています。
「あなたはなぜゲームを作り続けるのか?(ゲームについて思うことX)」
そして当時の任天堂社長であった岩田聡に要請され、スマブラのディレクターとして第一線に復帰する。
しかし会社には復帰せずフリーランスのままである。
メーカーがスタッフを集め、そこに桜井さんが合流する形となる。
そしてゲーム制作が終わったらチームは解散…という驚きの体制である。
任天堂が契約社員を募集し、オフィスも専用のものが用意されている。そして、完成したら解散する。
「芸は時代が欲するもの(ゲームについて思うことX)」
そんな体制で100人以上のスタッフをどう管理するのか、そのノウハウも書かれていて面白かった。
暫定でもいいから、とりあえずの判断もいいから、自分が良いと思える範囲で決めてしまえ!
「決断をさきに延ばすな(ゲームについて思うことDX)」
ひとりでゲームを作っているならともかく、多くの人が関わって作るのならば、方向性の統一が大事です。最初に構築したイメージがブレていなければ、多少の齟齬が生じても矛盾なくスッキリまとまるものです。
「キャラは踊っているか(ゲームを作って思うこと2)」
仕事を任せられない
桜井さんはゲームの制作からプロデュースまで、膨大な仕事を一人でこなしているようだ。
細かいパラメーター調整も自分で行う。
パラメーターは、生命体です。数字をちょっと変えるだけで、ゲームの性格も手触りも存在意義でさえ、大きく変えるパワーがあります。
わたしの場合、ディレクターとしてどんなに忙しくとも、プレイヤーが操作するものはほとんど自分で仕様を書き、最後まで数値調整を重ねます。
「数字で気づく演技の力(ゲームを作って思うこと)」
そこには他人に仕事を任せられないという問題が存在している。
プレイヤーが操作するものを任せてうまくいった経験はありません。
最終的には自分で数千、数万単位のパラメーターを調整することになる。
「数字で気づく演技の力(ゲームを作って思うこと)」
シナリオも自分で書く。
「新・光神話パルテナの鏡」のシナリオは、すべてわたしが書きました。
人に任せられるところは任せるべきなのですが、シナリオ外注もできず、なかばやむなくそうしました。
「ゲームのシナリオはふつうのお話じゃない(ゲームを作って思うこと2)」
加えてプロモーションの仕事も広報に振らないため、大量の仕事を抱え込んでパンクしてしまっている。
今後があるとしたら、その仕事量をなんとかする必要があると思います。限界はとうの昔に超えています。
「度を超える(ゲームを作って思うこと2)」
仕事の権限移譲は、どんなビジネス書にも書かれている基本のキ。
とはいえ天才・桜井政博と同等のクオリティで作業ができる人間はいないのだろう。
加えて、制作の度に新しいチームとなり、知識や技術が蓄積されていないというハンディキャップもある。
わたしのもとにスタッフがいないため、毎回スタッフ構成が変わります。これは、ノウハウや制作物の蓄積がほとんどないということになります。
「お答えします(ゲームを作って思うこと2)」
最新作のスマブラSPでは、初めて前作のスタッフを引き継げたようだが、問題は多そうである。
宮崎駿の作品を作るためにスタジオジブリが作られたように、桜井政博のゲームを作るための会社が必要なのかもしれない。
まとめ
今回は桜井政博の膨大なコラムの内容を紹介した。
クリエイターの仕事に興味がある自分にとって、貴重な内容だった。
今後の動向も見守っていきたい。
9冊の順位
1位:ゲームを作って思うこと1
2位:ゲームについて思うこと2015-2019
3位:ゲームを作って思うこと2
4位:ゲームについて思うこと2
5位:ゲームについて思うことX
6位:ゲームについて思うことDX
7位:ゲームを遊んで思うこと1
8位:ゲームについて思うこと1
9位:ゲームを遊んで思うこと2
Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア











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