[カバーイラスト (C) ***KINUYO***さん]
前回記事 では,特定健診集計結果で見られた,高齢者の不思議な血圧(収縮期血圧)分布 は,高齢者の大半が血圧の薬をのんでいるからだろうと結論付けました.
そもそも自然な血圧とは
それでは,特に健康に問題もなく 薬などものんでいない日本人は どういう血圧なのでしょうか? なにしろ「正常な人」なのですから,血圧を測る理由も機会もないでしょうから,そういう観点でのデータはほとんどありません.
苦労して探したところ,こういう文献がありました.

この論文では,ケニアの遊牧民とロンドンに勤務する公務員の血圧分布を調べた結果が報告されています.40年も前なので まだあまり高血圧薬などが普及していない時代です. しかもケニアの大地で暮らす遊牧民となれば,ほぼ「自然状態の人間の血圧」でしょう.両地域で健康な人の血圧はこう分布していました.

で,このグラフから両分布の平均値や標準偏差を見積もってみました. と言っても,「この分布は正規分布だろうか?」という,そもそものところでつまづいてしまいました.「理系の人々」 は,どうでもいいことに悩むのです.

というのも,ランダムな連続的現象であれば,中央値=平均値=最頻値をピークとして 左右対称に分布する正規分布になるのですが;

血圧の分布は左右対称ではありません.平均的な血圧が100 mmHgくらいとして,それより100 mmHgぐらい高い 200mmHgの人は 実在しますが,100 mmHg低い,つまり血圧 ゼロの人はありえません.すなわち血圧分布は非対称なのです. 上限はありませんが,下限は存在しますから.
となると,正規分布ではなく,対数化正規分布であろうとみて,上記のグラフに Excelの LOGNORM.DIST関数 を使って,カーブ フィッティングを試みた結果が下の通りです.


上図の通り,ケニアの遊牧民の平均血圧は 107mmHg, 標準偏差 =1.1で,ロンドンの公務員は 平均血圧は 129mmHg, 標準偏差 =1.14 で うまくFitしました.
ロンドンの公務員は,ケニアで自然に暮らしている人よりも 血圧が高く,かつバラツキが大きかったです.自然の中で暮らしている人は 本来これくらいの血圧なのでしょう.
この差にはもちろん人種差もあるのでしょうが,自然のままに暮らす人と,ストレスを抱えて現代社会で組織で働く人との差も反映しているのでしょう.
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ


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