厚労省のNDB オープンデータで,血糖値,血圧をみてきたので,ことのついでにLDLコレステロールも見ることにします.
悪玉と呼ばれて
LDLコレステロールは,日本では医師ですら「悪玉コレステロール」という必ずしも正確ではない呼び方をしていますが,それは海外でもそうなのでしょうか?
米国 メイヨークリニック (Mayo Clinic) で,コレステロールの解説記事を見ると,
Low-density lipoprotein (LDL) cholesterol.
This is known as the “bad” cholesterol. LDL carries cholesterol particles throughout the body. “Bad” cholesterol builds up in the walls of arteries. This makes the arteries hard and narrow.
これは「悪玉」コレステロールとして知られています。LDLはコレステロールの粒子を全身に運びます。「悪玉」コレステロールは動脈の壁に蓄積し、それによって動脈は硬く、狭くなってしまいます。
しかしながら,LDLコレステロールは,人体の必要な箇所へコレステロールを運搬する重要な役割を担っています. コレステロールは,体内で細胞膜,ホルモン,消化液(胆汁酸),ビタミンDなどの合成原料であり,コレステロールがなくなったら人間は死んでしまいます.昔は(今でも?) “The Lower, The Better”などと言う医師もいましたが,今では闇雲にコレステロールを下げればいいという人はさすがに少なくなっています.
日本人のリアルデータ
それでは,40歳~75歳未満の人を対象にした厚労省の特定健診データ では,LDLコレステロールの分布はどうなっているでしょうか.
男性 1,660万人,女性 1,420万人,合計 3,080万人のデータです.

女性の分布を40代,50代,60代,70代でグラフにするとこうなっていました.

40代までと比べると50代以降は,LDLがかなり高くなります.
ところが男性の分布を見ると;

40代,50代よりも むしろ60代,70代の方がLDLが低い人が多くなっています.
これは自然な分布なのでしょうか? それとも薬の影響を受けているのでしょうか?男性の70代でLDL 100未満の人が増えてくるというのは いかにも不自然です.
日本では特定健診や人間ドックなどで,大勢の人の健康データを集積した結果は得られます. ただ 特に持病もなく,もちろん通院も投薬もしていない,全く正常な人のデータというものは なかなか見かけません.
文献を検索したあげく,この報告が見つかりました.

中国の上海復旦大学付属関行医院/上海市関行区中心医院で健康診断を受診した18歳から84歳までの男女の内,持病・投薬のある人を厳密に除外して,正常な人だけのLDLコレステロールデータを解析したものです.

これを見ると,女性は 既に18歳から50歳代まで LDLコレステロールが直線的に上昇し,60代以降は一定~やや減少しています. 一方男性は 20歳代で上昇が頭打ちになり,70代を超えるとやや減少していきます.本当に健康な人であれば,生涯 LDLが120を超えることはないようです.さらに100を大きく下回ることもありません.つまり男女とも LDLコレステロールが100前後なのが 自然な姿であって,この値より無理やり下げる必要はないと思えます.
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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