コロナ,コロナ,またコロナ

 今,世界中を震撼させている中国武漢初の新型コロナウイルス,わが国でも感染者が相次ぎ,このままパンデミックフェーズに移行するのか,あるいはなんとか収束させられるのか,まさにギリギリの攻防が続いています.

 テレビをつければ毎日毎日,朝から晩までどのチャンネルも,今日はどこそこで何人感染者が出て何人死んだとか,合計何人になったというようなニュースばかりで,もう食傷気味というのが正直なところです.

 感染症専門の医師も同じ先生方がずっと出ずっぱり,司会者やコメンテーターから毎回毎回,相も変わらぬ同じような,ときには無責任とさえ思える質問ばかり求められて,なんか気の毒にさえなります.

 日本の観光業を支えていた中国人観光客が激減したため,観光地の店やホテルの売り上げも急落して経営危機にさえ陥っているとのこと,押し寄せる観光客やそのマナーの悪さで悲鳴を上げていた京都はすっかり静寂を取り返し,喜んでいる住民さえいるとのこと,全く皮肉なものです.

 中国の工場の稼働を一時中止したとか,事業の縮小をしたとか,希望退職者を募ったとか,企業活動にも影響が出ているのはもちろん,今夏のオリンピック,パラリンピックの開催も危ういのではないかという声さえ出てきていて,このところ精彩を欠く安倍政権が描いていた,インバウンドの増加とオリンピックの成功による飛躍的な経済波及効果には完全に赤信号が灯ってしまいました.

 もちろん我々医療従事者も大変です.

 予想はしていたことですが,感染の拡大とともにマスクやアルコール消毒剤などがあっという間に店頭から姿を消し,卸に注文しても入荷の目処さえ立っていません.幸いマスクはまだクリニック内に多くの備蓄があるものの,我々スタッフが使う分が毎日確実に減っていくので,いつものように患者さんに自由に使ってもらう余裕はありません.

 買い占めたマスクがとんでもない高値でネットで売られているなど,人の不幸につけ込むというのはまさにこのことで,日本人の モラルも地に落ちたものだと感じます.

 そして何よりも問題なのは,新型コロナウィルスの患者がもしも受診した際の対処方法です.

 このブログを書いている時点で,まだ兵庫県からは感染者発生の報告はありません.しかし北海道や関東や愛知や九州,さらに関西でもすでに大阪や奈良で出ているのに,兵庫県には患者がいないと考える方が不自然でしょう.
 大半の健康な人や若い人は感染しても無症状の不顕性感染の状態だったり,肺炎にまでは移行せず軽い咳や微熱だけでただの風邪症状と変わらないわけです.だからそういった人たちが医療機関に受診しない限り,さらに通常の風邪ではなく新型コロナウイルスを敢えて疑って検査をしなけい限り,わからないだけです.
 言い換えれば,実際の潜在患者数は報告されているより遥かに多いことは間違いないだろうということです.

 政府は当初,中国湖北省などからの帰還者やそれらと接した疑いのある人等をターゲットにしていましたが,すでに二次感染,三次感染のステージになって感染経路の分からない感染者が増加し,今は,37.5℃の発熱が4日間続いているか倦怠感や呼吸困難がある人は,医療機関に受診する前にまず「帰国者,接触者相談センター」に電話するように勧めています.
 しかし,そもそも高熱が出たら特に高齢者などは4日間も自宅でじっとしているのは不安ですから,たいてい2日目くらいまでには受診してきます.そうするとその段階では風邪なのか新型コロナウイルスなのかなどわからない.いちいちそれらを全部PCR検査に回すなど不可能なわけで,よほど新型コロナウィルス肺炎(といっても普通の市中肺炎と症状もあまり変わりないわけですが)を疑わない限りは風邪とか気管支炎として処理せざるを得ません.
 そういう意味で,もし受診した患者があとで新型コロナだったと判明するようなことも十分あり得るわけで,もしそうなった時は運が悪かったと思うしかないのかもしれません.

 今回はなによりもクルーズ船の乗客への対応などをめぐって,政府の対応が批判に曝されています.神戸大学の岩田先生がYouTubeで暴露したように,感染症対策の基本すらなっていないという声は諸外国からも上がっています.武漢からチャーター便で帰国した人たちのうち,検査を拒否した2人をあーそうですかと言ってご丁寧にも自宅に送り返してしまっことは大きな批判を呼びましたが,拒否した方もそれを承諾した方もアホとしか言いようがありません.

 批判を恐れるばかりに何にでも忖度し,話し合いはすれど物事が遅々として進まず右往左往のあわてぶり,専門家の意見を柔軟に取り入れて強い決断力とリーダーシップを発揮することすら出来ない今の日本政府の無能さが曝け出されてしまったといっては言い過ぎでしょうか.

 ところで,インフルエンザでさえ,高齢者やハイリスクの人を中心に毎年1000人以上の人々が亡くなっていることは意外と知られていません.新型コロナウィルスの感染力はインフルエンザと同等くらいと言われており,むしろ麻疹などより遥かに低いわけ です.そうは言ってもこのウィルスに対するワクチンや抗ウィルス薬が未だにないということが人々を言いようのない恐怖に陥れているのだと思います.
 
 日常生活をしている以上,ウィルスを完全に避けることには限界があるかもしれませんが,通常の風邪と同様,何よりも個人の免疫力が決め手ですので,手洗い等はもちろんですが,規則正しい生活や十分な栄養,睡眠,体力の維持増強などで対処し,春頃にひたすらピークアウトするのを待つしかないと思います.
 なお個人的にはビタミンCと補中益気湯を毎日飲み,そして何よりも「気」を充実させて心身を元気を保つようにしています.

 1日でも早く感染が収束し,誰もが安心して暮らせる日々に戻りますように


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Source: Dr.OHKADO’s Blog

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