新型コロナウイルス:BCG説を考える[3]

健康法

感染者数の信頼性

まず,新型コロナウイルスですっかり有名になった,PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法ですが,これを完全に理解している人は,私を含めてほとんどいないのではないでしょうか.相変わらずメディアに登場して『政府の怠慢だ. 全国民を直ちに検査しろ』『韓国では速やかに大量の検査をして感染を封じ込めたのに』と声高に要求している人ほど,この検査については無知であることを自ら白状しているようなものです.

PCR法とは,調べようとする検体(喉や鼻の奥から採取した粘液サンプル)の中に,ウイルスに特有の遺伝子パターンが存在しているかどうかを調べるものです. しかし 検体中にウイルスが存在していたとしても,それはごくごく微量なので,まず検体中の遺伝子の特徴的な部分だけを数万~数億倍に増幅して検出にかかりやすくしてから行う方法です(しかし,1回の操作でできるのは2倍増幅です.これを繰り返していきます).

Smart Chip MyDesign rt-PCR検査の手順
(C) ワケンビーテック(株)

このPCR法の実際については;

新宿会計士 様のブログのこの記事;

『PCRは本当に大変!地方衛生研に感謝を』

および highbloodglucose様のブログのこの記事;

『PCR検査についてのあれこれ』

さらに昨日のデイリー新潮のこの記事;

PCR検査の中身を知っていますか? 韓国の推奨政策と「数だけ議論」のワナ

をご覧ください.

昨日時点で,韓国では累計約 53万件の検査実績,一方日本では約14万件の検査を実施して,たしかに韓国の検査【数】は圧倒的です. しかし新型コロナによる死者は 韓国で232人,日本は190人です. 韓国の人口は日本の40%ほどですから,人口百万人あたりでみると,韓国=4.5人,日本=1.5人なのですから,検査数の多寡で致死率が決まるわけではないことがわかります.

我々素人は医学検査と言えば,ポンと検体(サンプル)を機械にセットすれば,即座に画面に「陽性!」とか「陰性」と出てくるものと思いがちです.しかしこれらの記事に解説されている通り,実に手順と時間のかかる検査法なのです. 細心の注意をはらっても検査精度は70%程度と言われています.検査精度が100%ではなく70%であるなら,どんなことが起こるか想像できるでしょうか?

本ブログの記事にも書きましたが,検査精度とは,『感度』と『特異度』から成り立っています.

  • 検査で絶対に『陽性』を見逃さないように『感度』を上げれば,ほとんどすべての検体が陽性になってしまいます,つまり測定すればするほど『偽陽性』が続発することになります.
  • 逆に万が一にも陽性の人を陰性と判定してしまうことのないようにと『特異度』を高めれば,『感度』が下がってほとんどの人を陰性と判定してしまい『偽陰性』が多発します.

つまり,検査法というものは 100%正確無比でない限り,必ず『擬陽性』『偽陰性』が発生するのです.

  • 『偽陽性』が増えてしまうと,本来 隔離する必要のない人にまで入院や隔離を要求することになり,医療崩壊を速めます.
  • 『偽陰性』が増えてしまうと,『陰性です』と言われた人は,お墨付きをえたわけで安心してあちこち出歩き 感染を広めるでしょう.

PCR法は,陽性なら100%『陽性』と判定し,陰性の人が『陽性』と判定される確率はゼロという検査法ではないのです.よって,やみくもに検査を増やすことは,それだけ『擬陽性』『偽陰性』の数も増やしてしまうことなのです(*)

(*) ただし クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスのように,対象が局限された状況では速やかに全員を検査すべきであったと思います.

さらに加えて,検体の採取から結果の判定まで,高度な熟練を要求されるのは上の記事の通りです.いい加減に検体採取を行うと陽性の人でも陰性とされてしまいます.つまりもっともやっかいな『偽陰性』を増やすだけなので,精度を保証できない検査ならやらない方がましです.

現在世界各国で,毎日 新型コロナウイルスの新規感染者数が報告されていますが,その精度は 間違いなく国によってバラバラです.さらに前回記事にも書いたように,『無症状の感染者は感染カウントに含めない』という信じがたい方針の国まであります.
よって,感染者の国別の比較をしてもさほど意義はないと思います.

さらに感染【率】についても,感染リスクの非常に低い人まで手当たり次第に検査する国・希望者は全員検査する国と,リスクの高い人に狙いを絞って検査する国とでは,結果として

感染率=発見された感染者数 / 検査した全人数

が大きく違って当たり前です.つまり感染率が低い国が『感染が広がっていない』とも言えないのです.

比較するなら死者数を

しかし,『死者』は違います.死者の数に誤魔化しはきかないからです. 検査方針や検査精度がバラバラであっても,新型コロナウイルスに特有の呼吸困難・肺炎症状で亡くなった方の判定は,国によって大きく違ってくるはずはありません. あるとすれば,医療崩壊が発生して,検査も診断もされず,したがって治療されることもなく自宅で亡くなった人がどれほど多いかの差です(武漢の死者が『後だしカウント』で急に増えたようですが).

つまり,国ごとに比較するのなら,感染者数,感染率ではなくて,死者数・死亡率で比較すべきと考えます.

[4]に続く

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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