道具に宿る命:修理する権利

その他

ある医療機器の販売業者さんが言いました。
「昔の医療機器は壊れないから困ってた。最近のはよく壊れるから有難いね。」

たしかに昔の医療機器は壊れなかった。
しかも
壊れても、修理可能。
ちゃんと直してくれました。

いまは
全く違います。

よく故障するために
高額な年間メンテナンス契約料を支払って
修理代金を安くしてもらうことが一般的になっています。

しかも
一定の年数がくると、部品の供給は無くなり
それ以降の修理は一切受け付けてくれないため
修理不可能となります。

古い機器がお金を支払って「処分」してもらい
新しい機器を購入するしかないのです。

これは画質の性能の進歩が激しい機器ならわかるのですが
年月が経っても性能にあまり変化のない機器まで同じことになっています。

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また
修理が出来るものでは、
修理代の高額化が問題になっています。

私は
レントゲン撮影装置の点検の時に
そろそろヒューズを変えた方がいいと助言され、
ヒューズの交換をしたことがあります。

ヒューズは1つ、たぶん100円くらいだと思いますが、
後日届いた請求書には
ヒューズ代として 60,000円請求されました。
誰もが知っている有名企業です。

こういうことが普通に起きるのは
多くの企業は
「別の修理会社で修理をした場合には、すべての補償やサービスを受けられなくする」
という規定を作っているからです。

だから
他の修理業者には頼むことが出来ない。

これは身近なアップル製品でも
最近まであった規定です。

さらに
昔と違って中古品は売れません。

ある医療機器は
定価1600万円でした。
購入価格は、
もちろんそれよりは多少安いのですが、
購入からほんの数ヶ月経った頃
たまたま中古医療機器査定業者さんが来たので
査定してもらいました。

500万円くらいかなと思っていたら、
なんと
1600万円の機器の下取り価格は
ゼロ

つまりタダなら引き取ると言ってきたのです。

もちろん最新機器で、超美品です。

別の業者さんからは
タダで引き取ってきたものでも
「数百万円で売れるんだよ。」
と聞きました。

今週は
ちょっと前に購入した800万円の医療機器、
まだまだちゃんと使えます。

中古医療機器屋さんに査定してもらったら
10万円支払ってくれるなら
引き取ってあげますよ、と。

医療機器は
一度使ったら
こんなもんです。

買う時には
この機器はとても素晴らしい
と絶賛されても

一度使用すると
この機器は売れないんですよ
に変わります。

現代社会では
多くの電子機器は
企業が使い捨て扱いを推奨し
出来るだけ頻繁に買い替えるよう勧めるのが
当たり前になっています。

その負担は
結局
末端の消費者が背負うことになってしまうのです。

でも高額すぎて簡単には買い替えられない機器も多くあります。

例えば
一時期とても流行した視力回復レーシック手術のためのレーザー機器。
1回の超短時間の手術で、高額費用を請求できるレーシック手術機器ですが、
現在レーシック手術を実施している医療機関が
急速に減少しています。

これは
レーザー機器は進化しているものの、
1台1億円近くするため
簡単に買い替えることが出来ないからです。

多くの手術をこなし続けないと
機器の支払いだけで利益にはなっていかないのです。

CTやMRIなども
維持費用だけでも膨大な金額がかかります。

こういったことは
医療業界に限らず
あらゆる業界に見られることのようです。

国際連合と循環経済加速化プラットフォーム(PACE)が発表した報告書によると、
廃棄物の中で最も増えているのは電子機器の廃棄物です。
これら電子機器廃棄物は
環境に有害な成分、鉛やクロム、難燃剤などが使われているため
環境毒性が高いことが多いのです。

それでも
企業は修理するよりも
新しい機器に買い替えてもらう方が
圧倒的に利益になる。

だから
修理をしたがらないのです。

でも
実際には
修理する権利を求める人々は年々増えています。

米国では
この修理をしたがらない企業の対応について
改善を求める声が高まり、
「修理する権利」に関する法律が、
いま各地で取り上げられるようになりました。

北米では、PIRG(Public Interest Research Groups)のような
消費者の権利を守り、改善していく非営利団体が
サポートしています。

修理に必要な部品の提供や情報を
利用する人たちが利用できるよう企業に求める法律が、
各地で次々と提案されています。

これは
自分が所有する機器を修理して長く使いたい
という当たり前のことを提案しているのですが
なかなか大きな壁があるのが現実です。

日本は古くから物に敬意を払い、
資源を大切にする国だったはずです。

魂を注いで物を作り、
心を込めて愛用すると、
道具に命が宿ります。

でも
使い捨てや大量消費では、
物に命が宿ることはありません。

物を大切にする精神は
どこに行ってしまったのでしょう?

私たちは、
もう一度本来の物の大切さを
再認識する最適な時期に来ているようです。
神理の扉聖なる変容と霊性進化の道
光田 秀
きれい・ねっと
2020-04-08


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Source: ひかたま(光の魂たち)

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