どうも、ヨウ-P(@s_y_prince)ことYO-PRINCEです!
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今回の記事はこちらのツイートを解説していきたいと思います。
事故はマニュアルで定義づけが大切
👨これって事故ですか?ヒヤリですか?
…という面倒なやりとりを減らせるし、たいして検討もしない書いてるだけの事故報告書も減らせる#介護にまつわる小さな引き出し— ヨウ-P@介護福祉士×ブログ漫才師 (@s_y_prince) 2020年6月11日
介護の仕事においては、転倒や誤薬等の事故が起きたときには「事後報告書」を書かなければなりません。
では、どこからが事故なのでしょうか?
どの程度で事故報告書が必要なのでしょうか?
今回の記事では、「事故報告書の作成基準を決めれば事故の記録に関する業務が効率化されヒヤリハットも増える!」ということを書いていきたいと思います。
事故報告書は何故書くのか?
Aさんが、ベッド横に長座位になってはったんですけど、これって事故ですか?
それは、転落事故だから事故報告書です!
床に降りただけかもですやん!事故報いらんでしょ?
介護現場では事故報告書をあげるべきか悩む事例が結構あるものです。
では、事故報告書をあげるべき事故って何なんでしょう?
内出血で考えてみたいと思います。
左大腿部内側に5×5cmの内出血があるんですけど事故報告いりますか?
おそらく多くの人が事故と判断すると思います。
大きさだけでなく、左大腿部内側という内出血の起こりにくい部位も気になりますよね。
「異常性」を感じたときに、人は「事故」と認識しやすいということだと思います。
原因究明も比較的しやすいでし、究明する価値もあることでしょう。
右膝に1×1cmの内出血があるんですけど事故報告書いらないですよね??
これは多くの人が書きたくない事故報告書だと思います(^_^;)
膝なんてよく打つ場所ですし、大きさもたいしたことないので、「異常性」を感じる人も少ないと思います。
原因究明したところで書きようがなくて無駄に考え込んでしまい、事故報告書の作成に必要以上に時間がかかってしまうこともあります。
業務効率も落ちますよね…。
ここで考えておきたいことがあります。
それは、何のために事故報告書を書くのかということです。
多くは「書かなければいけない」で書いていることが多いと思うのですが、目的は「事故を減らしていく」ことです。
書いてもメリットのない事故報告書を書いて、改善にもつながらず、業務効率が落ちるとすれば、それが逆に事故を増やしかねないことになると思うのです。
では、事故報告書の質を高め、「事故を減らしていく」ことにつながるようにするにはどうすればいいのでしょうか?
事故の定義を決めて事故報告書をスリム化しよう!
事故報告書の様式って多くの施設が記載する項目が多いと思うんです。
作成に時間がかかるんです。
「事故」が起きているわけなので、そこに時間をかけるのは当然のことです。
ところが、前述のとおり、「この事故にまで、ここまで書かないといけないのか…」と思ってしまうような事故がたくさんあるんですよね。
そのうえ、どれが「事故」として取り扱うべきなのかが人によって異なることもあると、不要な事故報告書がまぎれていることもあります。
不要な事故報告書をなくすためには、それらの「事故」を「事故」としないことです。
つまり、マニュアル等で事故の定義を定めて、「事故」として取り扱う範囲を明確にしていくのです。
では早速、事故の定義づけをしてみましょう!
転倒・転落事故の定義
例えば、転倒・転落の事故の定義ですが、前述の転落で考えてみましょう。
Aさんが、ベッド横に長座位になってはったんですけど、これって事故ですか?
このように、転倒や転落事故は発生後に発見されるケースが多いんですよね。
この場合の事故としての取り扱いが不透明なことが多いんです。
ちなみに、この状況を記録にするとこうなります。
A氏が長座位になっているところを発見した。
この時点では、事故かどうかの判断はできません。
このAさんが、ベッドから上手に降りる能力があったとしたらどうでしょうか?
事故ではないですよね?
え?
そんなの見てないから分からんでしょ??
そのとおりですよね。
ベッドから降りるところを見たことがなければ、その方の能力が分からないということなので「事故」として取り扱うしかありません。
大事なのは、そこから評価につなげることです。
もしかしたら上手にベッドから降りたのかもしれないと仮定し、ベッドから降りる能力を評価するということです。
それが安全な動作であれば、今後ベッドから降りておられても事故として取り扱う必要はありませんよね。
というわけで、転倒・転落事故の定義の一例はこんなふうになります。
転倒・転落の事実をもって「事故」とする
※床に座りこむ等の転倒・転落が疑われる場合は、安全に座り込むまたは降りる等の能力がない場合のみ「事故」として取り扱う。
他の利用者が「Aさんが今こけたで!」と言われた場合はどうなんですか?
自分で「こけた」と言われた場合もどうなんでしょう?
職員は見てないので事実は分からないですけど…。
よくある質問ですね…(^_^;)
それを言われた利用者にもよるとは思いますが、そういう場合は転倒された可能性が高いですよね。
ならば、こう定義してしまいましょう。
※本人または他利用者から「転倒・転落」の申告があった場合も「事故」として取り扱う。
利用者からの申告だけでも事故として取り扱うということは、利用者からちゃんと聞き取りをしなければならないことになります。
当たり前のことなんですけどね(^_^;)
転倒・転落事故は、「転倒・転落した」で終わっている事故報告書が多いんですよね…。
事故の定義を明確にすることで、より事実を明確にしなければいけないということが分かってくるはずです!
事故の定義づけの重要性が少しずつ見えてきましたね!
離設・離苑事故の定義
Bさんが、施設の外に出てはったんですけど、事故報告いりますよね~!
1人で外出てはったん!?
そんなもん事故に決まってるやん!
ちょっと外に出てただけですよね??
ダメなんですか?
さて、皆様どう判断しますか?
これは施設によるかもしれません。
ある程度外に出やすくて、少し外に出るぐらいなら安全な環境であれば「事故」との認識はしにくいでしょう。
あるいは、安全管理を徹底している施設なら、迷いなく外に出た時点で「事故」としていると思います。
離設・離苑での事故の定義は、施設の理念や方針が見えてくるところだと言っていいと思います。
どこまで「自由」に過ごしてもらうかですね。
もちろん、前述のとおり、施設の環境にもよると思います。
では、離設・離苑での事故の定義の一例を見ておきましょう。
A地点を越えて外に出てしまわれた場合に離設・離苑事故として取り扱う。ただし、夜間については施設外に出た時点で事故として取り扱う。
あくまで一例ですが、夜間の場合はリスクが高まるので、外に出た時点で事故としてもいいと思っています。
皆様の施設の環境にもよるので、どの程度リスクがあるのかで離設・離苑での事故の定義を判断されるとよいと思います。
暴力事故の定義
主に認知症の方の暴力行為が事故として取り扱われると思いますが、近年は認知症がない方の暴力行為も増えており、認知症の有無に関わらず「暴力」として定義づけをしておいたほうがよいと思います。
もちろん、外傷等の有無に関わらず、「叩く・つねる・殴る」といった行為があった時点で事故として取り扱うべきと思います。
ちょっとペシッと叩いたぐらいでも事故報告書いります?
程度をどうするかは難しいところですよね…。
少しあいまいになってしまうかもですが、こんな定義づけはどうでしょう?
利用者から外傷や感染症等の事故につながる可能性があると判断される暴力行為があった場合には、暴力の内容・程度に関わらず事故として取り扱う。
事故として取り扱うかどうかは、状況によって現場で判断することになります。
上司に相談する等して、チームに判断を委ねる部分があってもいいと思うのです。
事故の定義は、私の経験上の話ですが、すべてをガチガチに定義づけする必要もないのかなと感じています。
チームの中で話し合うことも大事ですからね。
職員への暴力はどうなんでしょう??
ひと昔前であれば、職員への暴力は我慢しなきゃいけないような風土もありましたが、近年、利用者から職員への暴力でも逮捕となる事例もありますし、職員を守るという観点からも職員への暴力も事故として取り扱うべきと考えます。
内出血事故の定義
これが一番面倒かもしれませんね…。
高齢ともなると、内出血はちょっとしたことで起こりえます。
利用者によっては内出血が頻発する方もおられることでしょう…。
私の施設ではこう定義しました。
内出血は、「異常」と判断する場合に事故として取り扱う。
前述のとおりですが、1×1㎝なら「異常なし」で、5×5㎝なら「異常あり」と判断して事故報告書を作成するイメージです。
内出血が小さくても数か所になる場合は「異常あり」と判断したりします。
あとは、部位にもよりますね。
内出血が小さくても「こんなところに出来るわけない…」って部位なら「異常あり」と判断することもあるってことですね。
このようにして、暴力事故と同様に、チームのなかで「異常性」を見極めて判断していくわけです。
「3×3㎝以上を事故とする」なんて定義してしまうのも変ですし、かといって定義しておかないと次から次に事故報告書をあげないといけなくなってしまうので、内出血の定義づけは意外と大事ですね。
業務の効率化にもつながると思います!
事故の定義の手前で発見したらヒヤリハット!
事故の定義が明確になったら、ヒヤリハットが増えることが期待できます。
ヒヤリハットの基準は、「職員がヒヤリハットしたこと」が基準になるので、どうしても職員の感覚によることになってしまいます。
なので、ヒヤリハットしない職員は全くヒヤリハットを出しません(-_-;)
ところが、事故の定義が明確になると、事故の定義に至らなかったものが「事故にならなくてよかった!」となるわけで、それこそが「ヒヤリハット」となるわけです。
職員が「ヒヤリハット」する基準が明確になったわけですから、日頃の職員間のやりとりでこんなやりとりが生まれます。
Aさんはベッドから降りる能力ないから、降りかけてたんってヒヤリハットちゃう??
Bさん外に出てたのは仕方ないけど、そのままにしてたらA地点まで行ってたやんな~。ヒヤリハットやん??
こういった会話をリーダーや先輩職員が意識的に日頃の会話に盛り込んでいけば、おのずとヒヤリハットが増えていきます!
そして、おのずと「事故の定義」もチームのなかで共有できるようになっていくのです!
「事故の定義」が明確になっていない施設は、今すぐマニュアルに盛り込んでください!
「事故の定義」は、きっとチームを変えるきっかけになります!
まとめ
介護の「事故」って、職員の捉え方に結構ばらつきがあるんですよね…。
そのことによって、あまり意味のない事故報告書に時間を割いてしまっていたり、大事な事故報告書がたくさんの事故報告書の中に埋もれてしまったりするようなことが介護施設では起きやすいのです。
「書かなければいけない」から事故報告書を作成するという捉え方から抜け出すためにも「事故の定義」をマニュアルで定めましょう!
それは、「どこまでが事故か」を明確にする作業です。
介護現場の事故というのは、「私たち健常者であれば生活である範囲」を「事故」としていることがあります。
その一例が、離設・離苑です。
施設によっては、屋外に出ることをそれほど問題としていない施設もあると思います。
「事故の定義」は、その施設がどこまで生活範囲を拡大するかという理念の具体化でもあるのです。
そして、「事故」として取り扱う部分を明確にすることで、事故防止活動をスリム化して内容の濃いものへと変えていくのです!
さらには、副産物として「ヒヤリハット活動の活性化」が生まれるわけです!
「事故の定義」だけでも、リスクマネジメントが動き始めることでしょう!
「事故の定義」づけ、まだの施設はやってみる価値ありですよ!
では最後に、「リスクマネジメント」に関する他の記事も覗いてみてください!
Source: すべての道は介護に通ず【暮らしかるモダンなブログ】
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