“命”というものを本気で考えたのは、
乳がんになったとき
がん告知を受けた人のほとんどは、
そのとき、きっと“死”が頭を過ぎっただろう
「私は、いつまで生きられるのだろう」
「私、死んじゃうの？」
と．．．
“がん”は、
『早期なら完治も可能』
そう言われるようにはなった
が、それでもがん治療は、
“治すためのもの”というより、“再発を防ぐもの”
“治療”という名前がついているにもかかわらず、
“完治させるもの”とは、
未だ言い切れないのが現状だ
長い期間に及ぶ治療を受けながらも検査を続け、
再発の不安を抱えながら闘病をしてゆく
そして治療が終わっても、“治った”とは言えない――
そんな中で、日常が送れることに感謝をし、
当たり前の日々にしあわせを感じるようになる
そう．．．
“今日”という日は、二度と来ない
毎日毎日、
“あした”という未来に向かって歩いていくだけなのだ
命はひとつ
人生は一度
「最期に“いい人生だった”と思えたら、
それが私にとって最高の人生なのかもしれない」
それは、がんになってから、ずーっと思っていること
がんになって、
自分の“最期”を想像しない人は、
きっといないと思うのだ
“私らしく”というのは、どこか漠然として、
正直、つかみどころがない言葉だ
が、それでも最後まで、“私らしく”いられたら、
それが理想なのかもしれない
命はひとつしかない
人生は一度しかない
リセットもできなければ、
過去へ戻ることもできない
だから今日も、
“あした”という未来へ向かって歩いていく
そう
“私らしく”
“自分らしく”――
もちろん、時にはもがきもするし、
立ち止まりもする
それも大切な、“休憩時間”なのだ
そんな夜――
上弦の月が西の空へ傾きかけていた
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Source: りかこの乳がん体験記
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