コロナに倍返しだ!

内科医

 新型コロナの感染対策もすっかり日常化し,最初は大袈裟で面倒臭かったフェイスシールドも,していないと却って落ち着かないほどすっかり身体の一部となってしまいました.

 我が国では第二波も収束しつつあるとるいわれ,10月からは政府肝煎りのGoToキャンペーンに東京も加わることになりましたが,このところ感染者の減少傾向が停滞し,相変わらず毎日数百人規模の感染者が報告されています.
マスコミでは相変わらず毎日々々飽きもせず新規感染者数を発表していますが,正直言って私も含め誰しもが,もう飽きたというのが偽らざる心境ではないでしょうか?

 そもそもワクチンや集団免疫ができていないのに経済活動を再開するのですから,ある程度感染者が出るのはやむなしと思いますし,でも日本人の大多数にマスクや手洗いなどの感染対策が自然な日常習慣として定着したからこそ,これくらいの発生数で済んでいるのでしよう.

 そのいい例がインフルエンザで,この秋冬はインフルエンザとコロナのダプルパンチの可能性が懸念されていますが,実際は今春も今月も国内のインフルエンザの発生は昨年の千分の1以下という驚異的少なさ,加えて通常の風邪や手足口病などの感染症も激減していることを考えると,いかにマスクや手洗いや三密の回避が感染予防に効果的か,ということを再認識させられます.

 来年初頭にはワクチンが完成して接種が始まると言われていますが,多くの国民がワクチンにより抗体を持つに至るまでこのような状態がだらだらと続くのではないかと思います.

 さて,先日,テレビドラマ「半沢直樹」が感動のうちに終わりました.
 今回も自らに及ぶ危険も省みず巨悪にいどんでいく堺雅人演じる主人公の姿に終始ハラハラさせられましたが,平均視聴率なんと33%を叩き出した最終回はSNSでのトレンド1位になるほどだったようですし,多くの視聴者を魅了した場面もありました.

 航空会社の再建に奔走する半沢が,絶体絶命の危機に直面,「花ちゃん」こと上戸彩さん扮する妻の前で「出向どころじゃすまない」と謝る場面,「だったら,いっそのこと辞めちゃえば」「銀行員だけが仕事じゃない」「もう頑張らなくていいよ. 今までもう十分すぎるぐらい頑張った」「ボロボロになるまで戦って必死に尽くしてきた銀行に,それでも『お前なんかもういらない』って言われるならこっちから辞表を叩きつけてやんなさいよ」と明るく励ますのです.
 そして「辞表か‥」とため息をつく半沢に「仕事なんかなくなったって,生きていれば何とかなる. 生きていれば,何とかね」と言ってそっと抱きしめ,涙を拭うのです.

 それから,巨悪の根源,与党箕部幹事長の不正を,マスコミを集めた会見の場で暴き出す場面.
 往生際悪くしらを切る箕部に,「『記憶にない』で済むのは国会答弁だけの話です. ここは国会ではありません. そんなバカげたげた言い訳,一般社会では通用しない!」と反撃.
 「今,この国は大きな危機に見舞われています. 航空業界だけでなく,ありとあらゆる業界が厳しい不況に見舞われている. それでも人々は必死に今を堪え忍び,苦難に負けまいと歯を食いしばり,懸命に日々を過ごしているんです. それは,いつかきっとこの国にまた誰もが笑顔になれるような明るい未来がくるはずだと信じてるからです」と切々と述べ,「政治家の仕事とはそんな人々がより豊かに,より幸せになるよう政策を考えることのはずなのに,貴方は政治家としての使命を忘れ,私利私慾にまみれて自分の利益だけを追求してきた」と喝破,ついに国民全員がテレビで見ている前で土下座させるのです.

 両者ともまさに涙腺崩壊,そして溜飲の下がる場面でした.

 現実はこんな勧善懲悪の結末とは程遠く,社会のどこを見渡しても,悪いことをする人間,ずるい人間がのさばり続けていることの方が多い,だからこそ,現代版時代劇ではありませんが,多くの国民がこのドラマに魅せられたのだと思います.

 原作者の池井戸潤さんはこのコロナ禍を予想して作品を書いたわけではないでしょうが,今回このタイミングでの放送は奇しくも,今まさにコロナ禍の中で苦難に喘ぎ,歯を食いしばって何とか必死に耐えている我が国そして世界中の人々への強力なエールになったに違いありません.


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Source: Dr.OHKADO’s Blog

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