明日からの診療に役立つ血液学その8(リンパ腫)

内科医

年があらたまりました。
久々にアップします。ストックがなくなってしまい、また作成に時間がかかってしまいました。申し訳ありません。
これからは、一般臨床から、一段階上がった内容になりますが、リンパ腫はかなりポピュラーな疾患ですので、知っておいて損はありません。

今回は、悪性リンパ腫について、概要をのべましょう。リンパ腫は、おおまかにつかめば、分かりやすい疾患です。

概要を言いますと、人口10万人に年間10人の発症です。年々、頻度は増加傾向にあります。性別ではやや男性に多いです。

原因は、基本的に不明です。様々なことが言われていますが、仮説に過ぎません。
一部のリンパ腫は、EBウイルス、HIV, HTLV-1, Helicobactor pyloriの関連が示唆されています。

また、自己免疫疾患(シェーグレン症候群、慢性甲状腺炎(橋本病)や、腎移植後とか免疫不全状態の関与は濃厚です。また、化学療法、放射線療法後の二次発癌として現れることもあります。

(1/18一部記載に誤りがあり訂正しました。)
 

いきなり、リンパ腫の分類の表を見ても、あまりにややこしくて何のことやら分かりません。

そこで、三つのタイプとしてまず把握します。

低悪性度   5年から10年 慌てなくてよい

中悪性度   半年から1年 急いで診断

高悪性度   一ヶ月   その日のうちに診断

同じリンパ腫でも、三つのうちのどれかによって対応が全く異なります。

低悪性度

あわてなくてよい。ゆっくり診断。ゆっくりと治療。だけど、治らない。

でも最近治るようになってきたかも。

新規薬剤のおかげです。(CD20抗体, ベンダムスチン、ベルケイド、CD52抗体など)

中悪性度

 代表;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

 治療しないと半年以内に確実に死に至る。

 化学療法で、完治する病気になりました。(60−80%)

  R-CHOP療法がスタンダードです。

高悪性度

 急性リンパ性白血病と同じ

 生きるか死ぬか

 何とか寛解に入れても、長期予後は骨髄移植を含めて生存率50%以下。

次に病期分類です。

  • I期 病変1
  • II期 病変2個以上、横隔膜の片側どちらか
  • III期 病変が横隔膜の両側にある
  • IV期 病変が全身に広がっている。
  • A 無症状 B 発熱、寝汗、体重減少
  • E 節外臓器へ浸潤

 ・・・IIIAEのように記載します。

IPI(国際予後指数)による予後分類が病期よりも更に正確に予後を反映します。

  • 年齢 61歳か以下か
  • 病期 I,II か III, IV
  • LDH
  • PS 2以上
  • 節外病変 2つ以上

で、1,2,3,45で予後が層別化されます。(5年生存率 73%, 51%, 43%, 26%)です。

リツキサン以降は、CHOP-Rの治療を行った場合は、0、1-2, 3-594%、79%、55%)で層別化されます。相当予後が改善していることが、実臨床で実感します。

どのようなリンパ腫があるでしょうか。分類は専門医に任せましょう。

低悪性度

  • ろほう性リンパ腫  これが殆ど!
  • 小細胞性リンパ腫
  • MALTリンパ腫
  • マントル細胞リンパ腫

中悪性度

  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 これが殆ど!
  • ホジキンリンパ腫

高悪性度

  • 急性リンパ芽球性リンパ腫・白血病
  • バーキットリンパ腫
  • 成人T細胞性リンパ腫
  • T細胞リンパ腫

などです。予後は不良です。


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Source: 真生会富山病院 血液内科医の「明日から役立つ血液学」

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