年があらたまりました。
久々にアップします。ストックがなくなってしまい、また作成に時間がかかってしまいました。申し訳ありません。
これからは、一般臨床から、一段階上がった内容になりますが、リンパ腫はかなりポピュラーな疾患ですので、知っておいて損はありません。
今回は、悪性リンパ腫について、概要をのべましょう。リンパ腫は、おおまかにつかめば、分かりやすい疾患です。
概要を言いますと、人口10万人に年間10人の発症です。年々、頻度は増加傾向にあります。性別ではやや男性に多いです。
原因は、基本的に不明です。様々なことが言われていますが、仮説に過ぎません。
一部のリンパ腫は、EBウイルス、HIV, HTLV-1, Helicobactor pyloriの関連が示唆されています。
また、自己免疫疾患(シェーグレン症候群、慢性甲状腺炎(橋本病)や、腎移植後とか免疫不全状態の関与は濃厚です。また、化学療法、放射線療法後の二次発癌として現れることもあります。
(1/18一部記載に誤りがあり訂正しました。)
いきなり、リンパ腫の分類の表を見ても、あまりにややこしくて何のことやら分かりません。
そこで、三つのタイプとしてまず把握します。
• 低悪性度 5年から10年 慌てなくてよい
• 中悪性度 半年から1年 急いで診断
• 高悪性度 一ヶ月 その日のうちに診断
同じリンパ腫でも、三つのうちのどれかによって対応が全く異なります。
○低悪性度
あわてなくてよい。ゆっくり診断。ゆっくりと治療。だけど、治らない。
でも最近治るようになってきたかも。
新規薬剤のおかげです。(CD20抗体, ベンダムスチン、ベルケイド、CD52抗体など)
○中悪性度
代表;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
治療しないと半年以内に確実に死に至る。
化学療法で、完治する病気になりました。(60−80%)
R-CHOP療法がスタンダードです。
○高悪性度
急性リンパ性白血病と同じ
生きるか死ぬか
何とか寛解に入れても、長期予後は骨髄移植を含めて生存率50%以下。
次に病期分類です。
- I期 病変1個
- II期 病変2個以上、横隔膜の片側どちらか
- III期 病変が横隔膜の両側にある
- IV期 病変が全身に広がっている。
- A 無症状 B 発熱、寝汗、体重減少
- E 節外臓器へ浸潤
・・・IIIAEのように記載します。
IPI(国際予後指数)による予後分類が病期よりも更に正確に予後を反映します。
- 年齢 61歳か以下か
- 病期 I,II か III, IVか
- LDH
- PS 2以上
- 節外病変 2つ以上
で、1,2,3,4−5で予後が層別化されます。(5年生存率 73%, 51%, 43%, 26%)です。
リツキサン以降は、CHOP-Rの治療を行った場合は、0、1-2, 3-5(94%、79%、55%)で層別化されます。相当予後が改善していることが、実臨床で実感します。
どのようなリンパ腫があるでしょうか。分類は専門医に任せましょう。
低悪性度
- ろほう性リンパ腫 これが殆ど!
- 小細胞性リンパ腫
- MALTリンパ腫
- マントル細胞リンパ腫
中悪性度
- びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 これが殆ど!
- ホジキンリンパ腫
高悪性度
- 急性リンパ芽球性リンパ腫・白血病
- バーキットリンパ腫
- 成人T細胞性リンパ腫
- T細胞リンパ腫
などです。予後は不良です。
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Source: 真生会富山病院 血液内科医の「明日から役立つ血液学」
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