2~3日前、あの道を通った
そう...
私の乳がんを見落とした、
あの病院の前の道だ
あそこを通ると、未だに心がざわつく
昨年、その医師は亡くなったが、
私はなにか塊のようなものを、
胸の中に抱えているままなのだ
今さら、言っても仕方がない
それでも、
「なぜ...」
「どうして...」
そんな疑問が収まらない
視触診だけではなく、
マンモグラフィや
超音波検査をしてくれたら...
“しこりがコロコロとよく動いているから、
良性(乳腺線維腺腫)”と決めつけず、
しっかり検査をしてくれたら...
この病院で検査ができないのなら、
大きな病院を紹介してくれたら...
「特に治療はないので、
そのままにしておいていいよ」ではなく、
「定期的に検査をしましょう」と言ってくれたら...
4年8か月後、
3倍もの大きさになって再受診したとき、
マンモグラフィ検査で
しこりの状態がわからなかったにもかかわらず、
切除した
切除ではなく、
まずは針生検をするべきだったのではないか...
そんな思いが今でも過ぎる
言っても仕方がないのはわかっている
が、もし、あのとき、「がん」と言われ、
手術・治療をしていたら...
そうしたら、私は、きっと、
もっと違う未来を歩いていたかもしれない
子どもも産んでいたかもしれない...
なにより、
“良性”だと信じて過ごしていた4年8か月...
いや、言っても仕方がない
いくら考えたところで、過去に戻ることもできない
すでに私は今、この道を歩いている
そして今、私はこうして生きている――
それだけで奇跡だ
それだけで贅沢だ
それだけでしあわせだ
あの医師に聞いてみたかった
「あの診断に、後悔はなかったのか」と...
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Source: りかこの乳がん体験記
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