おはようございます。
当ブログの読者から以下のご質問をいただきました。
いつも勉強になる記事をありがとうございます。
フリーランスエンジニアをしている35歳の男です。
分配金を目的としたETF投資の計画を立てたのですが、全くの投資初心者のために計画に自信が持てず、
投資にお詳しいちゅり男さんの目から見て改善点があればご指摘いただきたい、というのが質問の趣旨となります。
以下、私の投資計画の詳細です。
私はセミリタイア実現のための手段の1つとしてETF投資を検討しています。
具体的には楽天証券を通してポイント込みで月最低30万円を投資し(つみたてNISA枠も活用)、 10年後にはその分配金として月10万円前後を期待しています。
銘柄は、複雑な投資を避けて楽天VT1本にするつもりです。
10年間前後は分配金を再投資し続け、そのあとは分配金を現金として受け取る考えです。
同じ全世界型で更にコストが低いeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)も検討しましたが、
分配金を必ず再投資しなければならず、 将来的に現金として受け取りたい自分には合わないと判断し選択肢から外れました。
しかし、楽天VTは実質的なコストが0.4~0.5%程度が割高で、 月10万円の分配金を目標とする場合、もっと他に良い選択肢があるのではないかと自分の計画に確信が持てない状態です。
できる限り調べはしましたが、そもそも私の期待する分配金を得るためには楽天VTは不適当かもしれません(分配金は0.2%程度を期待しています)。
そこでお忙しいところ大変恐縮ですが、 ちゅり男さんから私の計画をご覧になって何か改善点などありましたら指摘いただくことは可能でしょうか。
以上です。 今後もブログの更新を楽しみにお待ちしております。
ご質問ありがとうございます。
結論から申し上げますと以下の通りです。
1) 楽天VTはVTを誰でも購入しやすい投資信託としてパッケージ化した商品ですので、厳密にはETFに直接投資しているわけではありません。
2) 現状では、楽天VTよりもeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の方がコスト面で有利です
3) eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を積み立て、生活費として必要な分だけその都度取り崩すのがシンプルです
1つ1つ詳細を見ていきます。
投資信託の分配金は自動再投資して税効率よく資産を積み上げよう
楽天VTはVTを投資信託としてパッケージ化した商品
楽天VTはVTを投資信託としてパッケージ化した商品です。
本家VTは米ドルに両替が必要であり、確定申告での外国税額控除の手間があること、1株で95ドル(約1万円)することから、日本円で少額投資したいという方には向きません。
とはいえ、VTという商品が長期投資の対象として最適な商品の1つであることは明確であり、VTに誰でも簡単にアクセス可能にしたのが楽天VTとなります。
よって、楽天VTを購入すれば間接的にVTを購入していることにはなりますが、厳密にはVTというETF投資をしているわけではありません。
また、ご質問者様も書かれている通り、楽天VTは楽天証券さんの取り分であるコスト(0.132%)があり、その影響でコストが割高になるという弱点があります。
楽天VTよりもeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がおすすめ
オーソドックスな全世界分散投資を検討する場合、投資対象としては、現状では楽天VTよりもeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がおすすめです。
楽天VTはVTをパッケージ化した商品ですので、中型〜小型株まで含んだ約8,000銘柄に広範囲に分散されています(全世界時価総額の98%相当)。
一方、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の指数であるMSCI ACWIに関しては大型〜中型株が中心であり、約3,000銘柄への分散投資で全世界時価総額の85%相当となります。
このように細かい違いはあるにせよ、どちらも全世界株式市場に分散投資する商品であることにかわりはないので、リターンには大差は出ないと考えられます。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は信託報酬、実質コストともに国内最低水準で、純資産総額も順調に伸び続けていますから、どちらか選ぶならばeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がおすすめです。
シンプルに生活費の分だけ投資信託を取り崩せばよい
ご質問を拝見していると、皆さん配当金や分配金という形式へこだわる方が多いのですが、
私自身はシンプルに生活費として必要な分の投資信託をその都度取り崩せばよいと考えています。
分配金を自動再投資してくれる投資信託は税効率がよいのは明らかですので、
現役世代で今すぐに分配金が不要な方は自動再投資設定をしてひたすら積み上げます。
そして、毎月の収入が減り生活費を賄えなくなれば、その都度投資信託を取り崩すのが最もシンプルではないでしょうか。
「毎月必ず○万円だけ必要」と決まっているのであれば、投資信託の定期売却サービスを活用すればよいです。
一度購入した投資信託はお宝のように保有し続けなければならないという呪いにとらわれている方がいますが、もっと柔軟に考えましょう。
所詮、投資信託など現金が株式という形に成り代わっただけのものです。
いつでも日本円に換金できるのが投資信託の大きなメリットですから、それを利用しないのはもったいないと思います。
まとめ
投資信託を活用する場合、分配金を自動再投資して税効率よく資産を積み上げましょう。
投資信託の一部を毎月の生活費にあてる必要がある方は、その都度手動で売却するか、投資信託の定期売却サービスを活用すればよいでしょう。
【おすすめ本】
『ライフシフト』を読んで、人生100年時代を迎えるにあたりどのような人生戦略を描く必要があるかイメージを膨らませておきましょう。
『エッセンシャル思考』はいつも時間に追われているビジネスマン必読の一冊です。
パレートの法則によれば、本質的に重要な部分は全体の20%に過ぎず、その他80%に時間や労力を割いても成果につながらないからです。
こんな記事も書いています。
ここ数年で優れた投資信託が増えており、大半の方にとって投資信託で十分な投資環境が整いました。
「キャッシュ+VT」もしくは「キャッシュ+eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が最もシンプルなポートフォリオでしょう。
株式投資は生活を豊かにする手段の1つに過ぎません。くれぐれも無理のない範囲で実践するようにしましょう。
Source: 神経内科医ちゅり男のブログ
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