医学部では避けて通れない学生実習。
古い言い方ではポリクリなんて言いますね。
実際にどんなことをしているのでしょうか?
学生実習で行うこと
カンファレンスの出席
医者が行っているカンファンレンスに出席するのも、学生の重要な仕事です。
大学病院では入院患者の治療方針について、研究についてなどいろんな(無駄な)カンファレンスが開催されています。
しかしカンファレンスに参加したからといって、専門用語ばかりが飛び交って全く何も理解できないのが通常ではないでしょうか。
学生にとっては、念仏を聞いているようなものでしょう。
したがって学生実習とはいうものの、実態はただの見学者に成り下がってしまうのです。
一方で医者側にとっては、カンファレンスに出席している学生を”教育している気分”になります。
また自分の時間を使うことなく教育できますから、医者にとっては便利なカンファレンスなのですね。
患者の診断・治療
実際の医療行為にあたる患者の診断や治療については、かなりハードルが高くなります。
医学部の学生であっても医師免許を持っていないただの一般人ですから、薬を処方したり医療行為を行うことができません。
したがって患者の診断や治療については、完全に蚊帳の外になってしまいます。
手術の助手
そんな学生なのですが、実習の大きなイベントの一つに手術の助手に入る場合がありますね。
視野を確保する器具を持ったりして、術野を広げる仕事を任せられることがあります。
ただし大学病院の場合には、研修医からベテラン医師まで医者がうじゃうじゃいますから、ただ働きしてくれる雑用係は数多く存在しています
したがってただ何時間も術野を眺めているだけになる場合も多々あります。
これも一種の見学ですから、カンファレンスと同様に全く有用ではありません。
インフォームドコンセントへの同席
患者さんのインフォームド・コンセントに同席するのも、学生の重要な仕事です。
病棟で担当している患者さんの病状説明や、術後などには医師から患者への説明が行われます。
そのような場に学生が同席するのです。
特に学生自らが何か話す事は無く、こちらもただ見学しているだけになります。
実際医者になって研修医の期間を終えてみると、他の先生が患者さんに話す場面を聞く機会はあまりないですから、なんとなく聞いておくのはちょっとは有用かもしれません。
回診
病棟回診について回るのも、学生の大切な業務でしょう。
毎日の病棟回診では、医者の後ろについて回ります。
上にも書いたように学生の身分では治療方針を決める事はできなければ、薬を処方することもできません。
ですから、こちらもただの見学になることが多いでしょうか。
ただ患者さんの毎日の様子を眺めるのは、医者になっても最低限必要な能力ですから、こちらはそれなりに力を入れて取り組んだ方が良いかもしれませんね。
患者さんの話を聞いたりするのは、医者人生の第一歩としては非常に大切なことです。
講義
さらに多いのは、病棟で医師から行われるミニレクチャーですね。
臨床で重要なポイントについてパワーポイントを利用してレクチャーが行われます。
ただ講義なんかはグループごとに行うよりも、学生全体を一斉に集めて行った方が医者側の負担は減ります。
それにわざわざ病院実習でレクチャーする必要性はゼロですから、あまり意味はないのでは、と思います。
病院実習の時間帯対効果は悪い
現在医学部で行われている学生実習は、どうしても無駄が多い、と言って良いでしょうね。
拘束時間の割には患者さんと接したり、自ら能動的に行う仕事がどうしても少なくなります。
本来は診療グループの一員として、朝のカンファレンスから夕方の回診まで全てに同席できるようになれば学べることもグンと多くなるでしょう。
しかしいま現在は医者側のマンパワーの不足から、学生につきっきりで十分な教育が行える状況ではないのです。
Source: 医者夫婦が語る日々のこと、医療のこと
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