久し振りに、湯船に浸かる夜
真冬でも、
つい、シャワーだけで済ませてしまう習慣
今年に入って2度目の入浴だ
ゆっくりと身体を温めたあとは、これ
“ビール”
．．．と、いきたいところではあるが、
アルコールが飲めない体質のため、
“炭酸水”で我慢
また身体が冷えてしまうのだが、
入浴後のちょっとした楽しみなのである
湯船に浸かると、いつも胸に目が行く
切除した左の乳房と右の乳房を
見比べてしまうのだ
私の乳房は本当に貧弱だ
肋骨の上に、うっすら膨らみがある程度
が、それでも湯船に入れば、乳房が浮く
切除した胸も、頑張って浮いているのだ
4分の1強切除した左の乳房
“3分の1近く切った”と言った方が
近いかもしれない
その浮いている姿が、
なんとも健気に思えてくる
手術をし、真っ黒になった乳輪
“こげ茶”ではなく、本当に“ブラック”だった
「色は元に戻るよ」
と、主治医に言われたが、
“元の色”とはあまりにもほど遠い色
そして、そこに放射線治療が加わり、
乳房は真っ赤に焼け、
赤みが引いたあとは、
皮膚が焦げたように茶色く変色した
あんなに姿が変わった乳房
手術を終えたばかりの頃は、
欠損した乳房を見るたび吐き気を催した
放射線治療の独特なにおいが、
さらにその吐き気を誘ったのだ
が、今はきれいになったものだ
若干、放射線治療の皮膚変化はあるが、
それもきっと、
他人が見ればほとんどわからない
正直、諦めていた
「絶対、きれいには戻らない」と、思っていた
「ひとの身体はすごい」と、思う
自分が思っているより、
ずっとずっとすごい
年月はかかる
焦りもする
が、絶対に身体も心も元気になれる
“時間が癒してくれる”という言葉があるけれど、
それはきっと間違っていないと思うのだ――
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Source: りかこの乳がん体験記
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