肝機能指標が,血糖値指標(空腹時血糖値や HbA1cなど)や肥満の程度などとはまったく独立に 糖尿病発症の予測因子になりうる という報告には,世界の糖尿病学者が大いに注目しました.
しかし,久山町研究では 対象患者の総数が1,800人余りと少ないので,いろいろな層別化分析を行うには 統計検出力が不足していました.
南原研究
韓国全羅北道の南原市の住民を対象にした住民健康診断データから,久山町研究と同様の追跡研究を行った報告があります.
健康診断を受けた人から,45~74歳の8,157人(男性 3,231人;女性4,926人)が2007年から2011年の間に追跡調査に参加しています.この内,研究開始時点で既に糖尿病だった人(935人),肝疾患のあった人(146人),データに欠落のあった人(150人)を除外した,6,926人(男性2,603人;女性4,323人)を約4年間 追跡して,その間の糖尿病発症と肝機能検査値結果との関係を調べました.
肝機能は,ALT,AST,GGT(γ-GTP)を調べています.男性対象者のGGTと糖尿病発症率との関係は以下の通りでした.GGTの値によって四群(四分位)に分けて,各分位単位での糖尿病発症率をまとめています.
GGT値が高くなるにつれ,糖尿病発症率が高くなることが明瞭です.
ここまでなら久山町研究の結果を裏付けるものですが,この南原研究の価値は,ここからのデータ解析にあります.
[8]に続く
Source: しらねのぞるばの暴言ブログ
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