緩和ケア病棟への思い ~“寄り添う”ということ~

結局、質素な部屋を飾ることなく、
母は逝った

緩和ケア病棟に入院したその日のことだった

「あと1週間だと思ってください」

その医師の言葉通りにはならなかった

翌日、病室に持って行くつもりで
父が孫の写真を用意してくれていた

が、
持って行くことになったのは孫の写真ではなく、
母に着せるための死に装束となった

病院には、亡くなった患者を運ぶルートがある

狭い廊下を抜け、
その奥にあるエレベーターまで
母のベッドを移動させていた

エレベーターの前に着くと、バタバタと、
1人の若い看護師さんが飛んできた

そして、
死に化粧を施し、
きれいなドレスに身を包んだ母を見つめながら、

「佐藤さん...佐藤さん...。
 佐藤さんとはもう少し話したかった...」

と、ぽろぽろと泣き出した

そしてまだ温もっている母の肩に触れ、

「佐藤さん、よく頑張ったね。つらかったよね」

私は彼女の背中をさすりながら、

「ありがとう、母のために泣いてくれて」

そう言った

「ごめんなさい。
 ご家族のかたより私の方が泣いちゃって...」

たった半日...

いや、もしかしたら2か月前、
1度この病棟に入院したとき
看護をしてもらっていたのかもしれないが、

それでもこうして涙を流してくれたことが
私には温かかった

“寄り添う”という言葉がある

緩和ケア病棟は、まさに、

“患者と家族に寄り添ってくれる場所”

“最期を迎える”ということがどういうことなのか
考えさせられた場所だ

医療で救われる思いがある

明け方3時半のことだった――

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Source: りかこの乳がん体験記

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